昆虫食をやってみたいと思ってネットを探しても、野食ガチ勢がカマドウマとかコウガイビルとか食べてるブログばかりが目について、昆虫食へのハードルが爆上がりしてしまうみたいなこと、よくありますよね。
わりと色んな人が昆虫食の入門に勧めてるのがセミの幼虫。夏の風物詩だし、跳ぶわけでも飛ぶわけでもない。不快害虫の位置づけでもなく、何より味がよいとのこと。
私が住んでいるのは閑静な住宅街だが、近くにわりと大きな緑地公園があり、休日になると子どもが虫取りにやってくる。木も多く、7月になるとセミが鳴き始めた。
セミの幼虫は夜間、特に日が沈んでからの早めの時間に土から出て木を登る。仕事帰りにちょっと公園に寄ってセミを採ってこれるわけである。やったね。
そう思って何度か公園に赴くが、全然いない。まだ季節じゃないのか?もっと腐葉土の堆積した柔らかい土質じゃないとダメなのか?30分探し回って木の根元に何かいると思ったらGさんでした。Gさんはお帰りになって、どうぞ。
簡単に言うと、セミの抜け殻があるところには幼虫がいるはずなのだ。セミの抜け殻なんて、道を歩いてたらふとその辺で見つけるじゃないですか。その感覚でいると、いざ探してみても見つからないんですよ。探すのをやめたとき見つかることもよくある話なんですが、井上陽水ではないのでまだ見つからない。まだまだ探す気です。あなたとは踊りません。井上陽水さんはお帰りになって、どうぞ。
*余談であるが、井上陽水の最大の名曲は『心もよう』である。
どうにかこうにか、1匹を確保。8月初旬なので、時期的にアブラゼミだろう。
緩慢な動きなのかと思ってたけど、意外とこの子、木をスタスタ登っていくんですよ。ビニール袋に入れておくと、いつの間にか手によじ登ってきてるもんだから、可愛くなってきちゃって困りますね。3回くらいもう逃してあげようかという気持ちが生じながらも、僕の中のキモい奴が、せっかく採ったんだから味見しようやとけしかけるので、誘惑に負けてそのまま持ち帰る。
セミの幼虫は健気に上に登っていきます。このひたむきさを見習いたいものです。
茹でる。虫は炒めるにしても揚げるにしても、まず下茹でしておくと爆発を防ぐことができるって先人が言ってた。
茹でた。見た目の変化はなし。
油を敷いて軽く炒め、塩で味付け。やはり見た目の変化はなし。ポーカーフェイスです。
一思いに一口で食べましょう。
まず、殻が柔らかくて全然口に残らない。ソフトシェルとかソフトクラブみたいな感じ。
そして中身がきっちりと詰まっていて食べ応えがある。食感は、茹でたエビからプリプリ性を取り除いたうえで焼いた貝柱の繊維感を付け加えた感じ。なぜ人は虫を食べるときに魚介に例えるのか。
味は豆。揚げた空豆のような香ばしさに、豆苗の青臭さを付け加えたようなニュアンス。ナッツ系の味と表現する人もいるけど、セミが吸ってた樹液によって味が変わってくるんですかね。
ともあれ、べらぼうに美味いというほどではないけど、普通に美味い。
セミの幼虫は糞出しなどの下処理が必要なわけでもなし、身がしっかり詰まっていて満足感が得られ、しかも普通に美味いとなれば、テナガエビとかサワガニと並んで夏の味覚として認定してもいいレベルだと思う。
8月終わり頃に、今度はツクツクボウシの幼虫を食べてみようと思って探しに行ったけど、結局ムカデを3匹見つけて鳥肌立っただけでフィニッシュ。次回のセミは来年に持ち越しです。