マテバシイを食べてみる - 丸ごと調理編
紳士淑女の秋の楽しみといえば、ドングリ拾いであろう。
かくいう私もその辺で拾ってきましたよ。
ドングリはブナ科に見られる硬い殻に覆われた果実の総称であるが、アク抜きしなくても食べられるものはスダジイ、ツブラジイ、マテバシイ、クリの4種類。全てブナ科だが、スダジイとツブラジイはシイ属、マテバシイはマテバシイ属、クリはクリ属にそれぞれ属している
ってかマテバシイってシイ属じゃなくてマテバシイ属なのか。クサビフグがクサビフグ属みたいな感じか。
今回拾ってきたドングリはマテバシイ。
丸々つやつやしてて福々しい。鈴なりで実っているのが面白い。
ちなみに、ドングリを調べるにあたっては、日本自然保護協会の「どんぐり検索表」がとても分かりやすい。
↓どんぐり検索表リンク
【配布資料】今日からはじめる自然観察「これは何の木のどんぐり?」 - オフィシャルPro|NACS-J
縄文の昔から食されていたというし、たぶん美味しいのだろうということでたくさん拾ってきた。
下処理として、水に浸けて浮かんでいる実を取り除いておく。そのあと新聞紙に広げて乾燥。日光で乾燥させるとひびが入って殻が割りやすくなるらしいけど、室内で乾燥させても既にひびが入ってああるものがある。いや、元からひびが入っていたのか?そうだとすると、ドングリを拾った直前に雨が降っていたのでカビの原因になりそうで困る。まあいいや。
まずは炒り。初めての食材はいつも炒りから。
うん、美味い。あまり甘くないハズレの栗みたいで美味しい。当然ながらナッツみたいにカリッとはしないし、栗みたいなホロホロでもなく、野野趣溢れるデンプンという感じでもそもそとしている。もっといい調理方法がありそうだ。
ちょうど栗ご飯が食べたかったところなので、ドングリご飯でも炊いてみましょうか。ご飯と一緒にマテバシイを入れて炊飯器で炊くだけ。
うん、美味しい。ほのかに栗ご飯のようなニュアンスの香りがあり、それでいて全然甘くなくて、しかもドングリが全然柔らかくないからご飯に馴染んでなくて美味い。マテバシイを下茹でしておけばもっと柔らかい食感になったのかな。
3合も炊いたドングリご飯を食べながら薄々気づいてきたが、マテバシイ、今のところそこまで美味しくないぞ。他に食べるべきデンプン質がないのならたぶん最高に美味い。しかし僕の家にはいま新米があるし、冷凍庫には栗がある。これは真面目にマテバシイを美味しく食べる方法を考えなければなるまい。ただし面倒なので今回は粉にはしない。まずは丸ごとの姿で美味しく調理したい。
2日ほど真面目に考えたがさっぱり思いつかないので、とりあえず揚げに頼ろうか。素揚げして塩をかければたいていのものは食べられる。
うん、美味い。カリカリの食感で、塩味がデンプンの甘味をうまく引き立てている。これに金は払おうとは思わないが、居酒屋のお通しで出てきたら喜んで食べる。少なくとも乾燥スパゲティを揚げたやつよりずっと美味い。焦げるちょっと前までしっかり揚げたのがいい食感につながったのかもしれない。揚げは裏切らない。
ドングリがまだ1キロ分くらい余っているので、全部揚げて、グラニュー糖と少しの塩をまぶしてスナックを作っておく。これで在宅勤務中口寂しくない。それに、上司がどれだけ講釈を垂れようと、その上司は「ドングリを拾って揚げてストックしてちまちま食ってる奴を相手に説教してる人」に成り下がってしまうわけだ。ざまあみやがれ。
さて、ストックしておいたこの揚げドングリを食べたが、なんだこれカッチカチやんけ。揚げたてのときのカリカリがすっかり失われ、加熱前よりも食感が悪くなってしまった。まあでも、うん、美味い。茶碗の縁にくっついてるベータ化した米を噛みしめてるみたいで美味いよ。
面倒だったから今回はやらなかったが、マテバシイを粉に引いて本格的に調理法を探る必要がありそうだ。もう今年はやらないかもしれないけど、気が向いたらやります。
(採取日 2020. 10. 6)