しらたまが道草を採って食うブログ

野食をしていたら他の人は消えてしまった。別ブログでは酒飲んでます→ https://shiratamarr.hatenablog.com/

桂花醬(金木犀のシロップ漬け)のお茶を飲んだら社会人2年目のカオリ(23)になった

金木犀の香りが好きだ。金木犀の香りを嗅いで初めて僕のなかで秋がやってくる。最近いろんなところで「〇〇をして初めて僕のなかで秋がやってくる」的発言をしている気がする。総合すると、金木犀をかいで、銀杏を食べて、どんぐりを拾って、燗酒を呑まなければ僕に秋が来ないことになっている。秋の到来条件が多すぎる。

 

 

中国では金木犀の花でジャムやシロップを作るという話は以前から知っていた。蒸した餅の上に金木犀のジャムをのせたデザートが中国のある高級料理屋の名物で、そこで会食をしたアメリカ大統領が皿にくっついた餅を箸で持ち上げるのに苦労したみたいな新聞記事を大昔に読んだ記憶があった。

調べてみると日本人によるレシピがいくつか出てくるのだが、何かの果汁や洋酒を使ったり、とろみ付けにペクチンを添加するレシピが多い印象がある。ペクチンとは、ジャムのとろみを生み出している多糖類、簡単にいえば食物繊維で、植物の細胞壁にあるので果物でジャムを作るときには果物自体の水分とペクチンでええかんじの粘性が出る。金木犀でジャムを作ろうとすると、当然水(かそれ以外の水分)を加える必要があり、金木犀ペクチンだけでとろみをつけることは難しい。しかも金木犀自体に強い味があるわけでもないので、何かの果汁などを入れなければ、金木犀の入ったただの砂糖水になるわけである。そういう意味で上記のようなレシピには非常に合理性があるのだが、まずはシンプルな材料だけで作ってみたいという気持ちがあった。

 

YouTubeで検索していたら中国の方がアップした動画がいくつも見つかった。色々見ていくと、作り方はわりと適当だし、人によって全然作り方が違うことが分かってきた。

 

1. 短時間湯通しした金木犀を砂糖と蜂蜜に漬ける方法

桂花(キンモクセイ金木犀)、糖桂花的制作方法、金木犀の蜜漬け、桂花茶,桂花酒,桂花糕。皇家御用高级点心的香料。

 

2. シロップに金木犀を直に入れてそのまま湯煎する方法

桂花釀|人閒桂花落|桂花還可以做什麼?|Osmanthus Stuff

 

3. 金木犀に少量の塩をまぶして殺菌してから金木犀と砂糖を瓶詰めする方法

九月桂花香满天,别浪费,学会秘制“糖桂花”泡茶做糕点两不误! 【小川子熟食】

 

4. 金木犀を水洗いして天日干ししたのち金木犀と蜂蜜を瓶詰めする方法

八月桂花開九月桂花飄香,在家自制桂花蜜,教程詳細易操作,比買的健康

 

 

とにかく、殺菌してから砂糖とか蜂蜜に漬ければいいということらしい。

今回は1のやり方で桂花醬(金木犀ジャムあるいは金木犀のシロップ漬け)を作ってみます。

 

ここまで調べてから気づいたけど、「金木犀 シロップ」で調べずに「桂花醬」で調べるとけっこうたくさんレシピが出てきました。

 

 

 

 

 

花を採取します。

 

f:id:shiratamarr:20201116222908j:image
f:id:shiratamarr:20201116222917j:image
f:id:shiratamarr:20201116222913j:image

 

金木犀を至近距離で見たことなんてなかったし、ましてや摘んだことなんてなかったので、ものすごく繊細な、触っただけでハラハラと落ちてしまうような儚い花なのだと勝手に思っていたが、けっこうしっかり茎がついてるし、肉厚なしっかりとした花弁なんですね。

20分くらい採ってると、茎は採らずに花弁だけ採る技術が高まってきます。こうして人類は技術を身につけていきました。

 

 

ざるでふるって茎やゴミを落とし、落としきれなかったものは手で除去してから、沸騰した湯で10〜20秒くらい加熱し、すぐにざるをあげます。

 

f:id:shiratamarr:20201116223204j:image
f:id:shiratamarr:20201116223223j:image
f:id:shiratamarr:20201116223219j:image

 

瓶に金木犀、グラニュー糖、蜂蜜を層になるように詰めていけば仕込み完了です。


f:id:shiratamarr:20201116223216j:image
f:id:shiratamarr:20201116223228j:image

 

時間が経てば砂糖と蜂蜜に香り成分が染み込んでいくと思いますが、詰めてすぐの時点でも金木犀の甘い香りがよくします。

ちなみに、花は食べられるけどわりと苦味がある。金木犀に塩を振るレシピがありましたが、それは殺菌の目的に加えて苦味を抜く目的もあるそうです。レシピに酒を使う方法もあり、アルコールによってタンニンが不溶化されるので、苦味を消すことができます。

 

 

 

さて桂花醬、どうやって使うんでしょうね。動画では茶葉と一緒に急須に入れてお茶にしたり焼き芋に垂らしたり、あとは台湾スイーツとしてよく聞く豆花にかけたりするらしい。豆花美味そう。

とりあえずはシンプルに、桂花醬をお湯割りにして桂花ティーにしてみましょう。急いで風呂に入って、無印のチェックのパジャマに着替えます。

 


f:id:shiratamarr:20201116223232j:image
f:id:shiratamarr:20201116223212j:image

 

 

…東京の私大を出て、わたしは都内にある商社の業務職として社会人生活をスタートした。商社といっても旧財閥系の総合商社じゃなくて、何の特徴もないふつうの商社だけど、扱う商材はやたらと多いから平日はバタバタだ。社会人生活2年目。得意先の商材とロットはだいたい頭に入ったし、総合職の担当が風邪で休んだときは何とかその日の発注を代わりにこなせるようになったし、伝票はもう目をつむってでも書ける。

男性の多い職場だから出会いはほとんどない。その話をメガバンクに一般職で入社した大学の友人にしたら合コンに誘ってくれたものの、社交的な性格ではないからあまり気乗りはしていない。今週末までに返事すると言ってあるからそろそろ決めないといけない。そんなことを考えながら、金木犀のお茶を飲む。甘い香りが仕事に疲れたわたしの心を包みほぐしてくれる。

学生時代に思い描いた理想とは程遠いけど、わたしの社会人生活、そんなに悪くないかも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

OLごっこを楽しんだので、ビールでも飲んで寝ます。さいなら。

 

 

(採取日:2020. 10. 18)