しらたまが道草を採って食うブログ

私ついていくよ どんな辛い野食の闇の中でさえ

イタドリの新芽のお浸し

 

イタドリという山菜がある。スカンポなどとも呼ばれ、高知県では春の山菜としてよく食べられているのだとか。職場の高知出身の後輩に聞いたら「なんすかそれ?」と言われるくらい、高知では有名です。

 

イタドリは山に入ればどこにでも生えているし、河川敷でも見つけることができる。ガキの頃に、父と山にふきのとうを探しに行って、見つけたイタドリを齧ってみて「やっぱり酸っぱいだけだわ」と思って吐き出すというのを毎回繰り返していた。

 

世界の侵略的外来種ワースト100にも該当しており、生育が早いうえ、地上部を伐採しても地下茎が残るため根絶が困難で、コンクリートの舗装もぶち破ってしまうこともあり、海外では相当嫌われているらしい。イタドリは日本を含む東アジアの原産で、英名はJapanese knotweed。かのシーボルト先生が日本から持ち帰ったのだとか。シーボルト先生…

 

 

 

 

 

野食の観点からは、イタドリはその辺に生え散らかしているうえ、数十センチの茎の部分を食べることになるので、食材にできればかなり食いでがある。採取の日を楽しみにしていたのだが、忙しくて4月が過ぎ、幾歳月が流れ、6月になってしまった。

 

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普通に僕の背を越す高さになっています。あの頃は私の方が大きかったのにね…

採取しようにも、繊維がゴリッゴリになってて茎を折ることができません。食べる時期を完全に逸しています。

ちなみに、春先の茎は手で折れるくらい柔らかく、茎を折ると「ぽこん」という気持ちのいい音が鳴ります。

 

 

 

こうして今年は諦めていたイタドリだったが、ちょっと移動したらそこらへんにイタドリの新芽が出ている。この時期にも芽吹くのか。

 

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大きくなり過ぎていない茎だったら食べられるのでは?

 

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固い。ダメです。

色合いが春先のものよりも明らかに濃い。この季節になったら光合成をバンバンやって根っこからグイグイ水を吸い上げないといけないから、短い茎でも繊維がしっかりしてるんでしょうか。

 

 

そういえば新芽も食べられると聞いたことがありますね。どうせそのへんに生え散らかしてるし採ってみることにします。茎の仇は新芽で取る。




 

 

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イタドリにはこんな感じでアリがよくくっついているんですが、イタドリには花外蜜腺という器官があって、そこから分泌する蜜を目当てにアリが集まってきます。

 

 

 

 

 

 

 

茹でる。

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イタドリにはシュウ酸が多く含まれていて、食べるときには下茹でをするなどの処理が必要になります。新芽にどの程度のシュウ酸が含まれているのかはわかりませんが、ちょっと長めに5分ほど茹でてみます。

 

 

鰹節と醤油で。
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少しだけ苦味が残ったけど全然風味の範囲内。苦味以外の食味は総じてニュートラルで、取り立てて特徴があるわけではないが悪い点もなく、野草としては美味い。長めに茹でたけど食感はしっかり残っていて小気味良い。イタドリというとシュウ酸由来の酸味が強いイメージだけど、茹でた新芽には酸味は全くなかった。

全体的な印象は、以前食べたオカジュンサイから粘りを取った感じかな*。

* ある程度知識が蓄積されてくると、誰にでもわかる例えではなく、多少知識がある人でないとわからないような例えをし始めるタイプのオタクがいるが、ああいうのは良くないと思う。

 

参考

 

 

 

 

 

 

 

手に入りやすいし、下処理も楽で美味しかったので、イタドリの新芽は今後僕の中で定番になりそうです。ひとつ欠点があるとすると、採ってきたイタドリにアリもくっついてきてしまうことですかね。そのときはイタドリと一緒にアリも食べてしまうのがおすすめです。

 

 

 

(採取日: 2021. 6. 20)