このブログの今年の目標というのが「もっと動物質を食べよう!」でして、特に虫食の経験値の溜まってなさについて問題意識を持っています。今まで食べてきた虫と言えば、セミ、イナゴ、あとよくわからん幼虫数種くらい。顔ぶれがいかにも寂しい。
そりゃ私だってカミキリムシの幼虫とか食べてみたいですけど、それを目的にして山に入らないといけないのでちょっとハードルが高いんですよ。それに虫に対する抵抗はさすがにあるので、「ジョロウグモは美味しい」と言われてもこれを食べようという気にはまだなれません。私風情にはまだバッタくらいが丁度いい。
釣りに行った際に車を止めていた野原を歩くと、足元からバッタがパタパタと飛び立つのに遭遇。今年はぜひ食べてみようと思っていたトノサマバッタ。もう少し秋深まってから採りに行こうと思っていたが、せっかくなのでちょっと味見をしたい。他にもいろんなバッタがいるようなので捕まえてみましょう。
トノサマバッタは長距離を飛翔するのでただでさえ捕まえるのが難しい。手元にあるのは釣り用のタモ。何をしているのだ。
とりあえず大きめのバッタを捕まえた。
なんだショウリョウバッタか。ショウリョウバッタはあまり美味しくない部類とのもっぱらの噂だし、昨年イナゴを採って佃煮にしたときについでに採ったショウリョウバッタは、たしかにこれといった特徴がなかった印象。けっこう大きな個体を捕まえることができましたが、こいつは美味いのでしょうか。
【ご参考】
続いて、
エンマコオロギ!コオロギは虫食の分野でも最も人民に膾炙しているエリートで、無印良品でコオロギを使った煎餅が発売されたというニュースは話題にもなった(コオロギをどこから調達しているのかが大変気になる)。
釣り用のタモなんて虫取りの役に立つわけがないのでもう手掴みで頑張ってたんですけど、手で押さえた瞬間に「こいつがコオロギではなくて実はゴキブリだったらどうしよう」と頭をよぎって日和ってしまうんですよ。そんなわけで捕まえるのに少々手間取りましたが、2匹を確保。ガキの頃は平気で捕まえていたんですけどね。
あとイナゴもいたのでついでに捕まえました。
肝心のトノサマバッタはみんなさっさと遠くに飛んでいってしまったようで、結局捕まえられませんでした。何をしているのだ。
ペットボトルに入れて持ち帰ってきた(蓋は少し緩めておく)。計5時間くらい糞出ししたかたちとなります。コオロギに関してはスカベンジャー(腐肉食動物)なので正直もっと糞出しに時間をかけるべきところだったが、当時はそのことがさっぱり頭から離れていたので特に懸念もせず調理に入りました。まあ草原にいたコオロギだし、そこまで変なものは食べてないでしょ(切望)。スカベンジャーであるということは何を食ってるか分からないということなので、食ったもの経由で寄生虫を持っていたりすることも大いに考えられます。安全を期して食すなら、時間をかけての糞出し、さらに理想的には野菜などで一定期間飼育することによる内容物の置き換え、そしてよく火を通すことが望ましいと思います。
虫の調理法として、いきなり炒めたり揚げたりすると爆発することがよくあるので、いったん茹でてタンパク質を凝固しておきます。
茹でた。
ショウリョウバッタの存在感。
素揚げした。見た目はあまり変わりません。
イナゴ以外あまり食指が動かないけど、とりあえず食べてみます。
イナゴ
まぁ普通に美味いです。佃煮にしても揚げても、イナゴの香りってわかるんですね。イナゴは産卵直前の抱卵個体は旨味があるんですが、そうでなければ中はスカスカでとくにこれといったものではない。よくエビに例えられるが、甲殻類も節足動物もキチン質を主成分とする外骨格を持つのでそれが同じ風味ですねということである。つまり、バッタはエビの身の味に似ているという意味ではなく、エビの殻の味に似ているというだけの話である。
コオロギ。黒いなあ。
中身が詰まってる!それだけにちゃんと旨味がある。しかも外骨格が比較的柔らかいので、口にも残らない。これはイナゴよりも食味はずっと上ですね。コオロギがもてはやされる理由がわかる。
ショウリョウバッタ。もっと小さいやつ捕ってこればよかったな。
殻が固い。二度揚げして再度食べるも、どうも口に残る。そして中身はスカスカで何もないので、外骨格の味があるだけである。若干苦味があったのは彼らが口から出す黒い液体でしょうか…よくわかりません。やっぱりショウリョウバッタはそんなに美味しくはないですね。
だいたい前評判どおりの味でした。トノサマバッタがいればもう少し食卓が華やかになったのですが、今回は残念でしたね。トノサマバッタの味見は持ち越しです。
(採取日: 2021.8.26)