しらたまが道草を採って食うブログ

私ついていくよ どんな辛い野食の闇の中でさえ

テトラポット帯で採った磯物三種 〜 マツバガイ・カメノテ・フジツボ

 

漁港に釣りに行ったんですが、ちょうど引き潮の時間帯で全然魚が釣れませんでした。僕の腕が悪かったのも少しは要因だったかもしれません。テトラポット帯で穴釣りをしても小さいカサゴがポツポツ釣れるのみ。あとは小さいキュウセンが餌を突っついていくだけ。僕は飽き性なので1時間ほどやったらもう飽きてきたんだな。

それにしても、引き潮だからかテトラポットにいろんなものが付いている様子がわかる。いっそこれを採った方が食材調達の効率がいいんじゃないか?釣りのときにナイフを携帯しているので、無理ない範囲で採ってみます。

 

 

 

テトラポットの隙間を丁寧に探してみるとありました、マツバガイ。

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貝むきナイフでベリベリ力を入れて剥がす感じなのかと思ったら、一箇所でも剥がせば「あ、あかんわ」って感じでポロッと剥がれる。守りが固いけど、どこか一箇所でも牙城を崩せばあとは攻めるのは早い。

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カメノテもちょいちょいありますね。

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そんなに大きくないけど、カメノテを食べたことがないので味見分だけ頂いていきます。カメノテは固着性なので、あるエリアで乱獲するとその後何年間かはカメノテは姿を消します。採る際はご注意ください。

カメノテって岩肌にくっついているので貝類の仲間かと思われるかもしれませんが、実は甲殻類の仲間です。海中で触手(蔓脚と呼ぶらしい)を伸ばしてプランクトンを捕食する。

 

 

同じく、貝類っぽいけど甲殻類なのがフジツボ。集合体恐怖症の人が見たら卒倒するレベルでその辺にくっつきまくっている。

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私が今まで見てきたフジツボは直径1センチ程度の小さいものだったが、ここのフジツボは3センチほどもある。前者の小さいフジツボがイワフジツボ、今回見つけたものがクロフジツボというみたい。そして、食材として流通するらしい青森県産のもっとでかいやつがミネフジツボ

このフジツボをどうにか採りたかったのだが、岩肌にカンカンにくっついていてナイフでは全く歯が立ちませんありがとうございました。しかしマツバガイにフジツボがくっついているものがあったのでまとめて回収。

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本日の成果

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岩にくっついている子たちなので砂抜きは不要らしい。まずはマツバガイもカメノテも表面をたわしでゴシゴシと洗っていく。

マツバガイは、岩肌にくっついていたところに砂やゴミがたまるので、ここを歯ブラシで綺麗にしていきます。

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私の愛用の歯ブラシはGUMの3列毛先細タイプです、対戦よろしくお願いします。

 

 

 

 

なんとなく洗えたので、マツバガイを酒蒸しにしていきます。しかし今手元にあるのは加茂錦の吟醸純米吟醸純米大吟醸の3本のみ(先日セットで買った)。しょうがないので天罰覚悟で加茂錦を少しだけ注いで蒸しました。加茂錦を飲みながら待つ。

 

カメノテは普通に塩茹でしていきます。茹ですぎると旨味が抜けるかなと思い、5分程度にとどめました。加茂錦を飲みながら待つ。

 

 

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マツバガイはトコブシのようで普通に美味い。せっかくなら刺身にもしてみればよかった。しかし砂を噛んでいる個体もけっこうあるので、やっぱり砂抜きはした方が良かったかもしれない。

 

 

 

カメノテは根元の皮をペリペリと剥がしていく。
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先のもしゃもしゃしたものが触手(蔓脚)。ここはもしゃもしゃしてるので食べません。

シャクシャクプリプリの食感で、味はカニのような二枚貝の貝柱のような旨味がある。食べたことがあるような、しかしカメノテとしか言えない滋味がある。

やはり塩茹では旨味が逃げてしまうので、味噌汁に入れると良いとのこと。

 

 

さて最後はフジツボだが、マツバガイの貝殻からどう剥がすか…とりあえずちょっと力を入れてみたら、思いの外ポロッと取れてくれた。フジツボはタンパク質でできた接着剤を分泌して岩肌にくっつくらしいのですが、加熱によってこのタンパク質が変質して接着力を失ったということなんですかね。ちなみにフジツボの接着成分は強力で、水にも強い接着剤の開発に応用されているらしい。

「フジツボ」からどんな出血も15秒で止血できる接着剤を開発 - ナゾロジー

海水中で繰り返し使用できる接着剤を開発 ~海洋付着生物「イガイ」に学んだモノづくり~ – 北海道大学 化学反応創成研究拠点 (ICReDD)


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裏側はこんな感じ。殻の中は海綿状になっていたんですね。

 

身。やはりフジツボの身の先端にも触手がついている。
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…なにこれ、カニやん。甘みと香りがまんまカニ。味が非常に濃い。めちゃくちゃ美味い。可食部が絶望的に少ないから、フジツボ食べてみたいと思った人がいたらズワイカニを食べてみてください。フジツボの味がしますので。

 

 

 

 

こういう小動物を採ることができる磯場って、現地に行って探すほかないので少し敬遠してたんですが、それを主目的にして気合入れて行くというよりも、今回みたいに釣りに行ってたまたま引き潮にあたったときにふらっとテトラポットの隙間を覗いてみるとか、そういう緩さで臨むのがいいのかもしれません。次回はイボニシとかオオヘビガイとかも採ってみたいですね。

 

 

(採取日: 2021.10.2)