山菜としてはメジャーではないけれども、食べられるということはそこそこ知られているし好きな人もわりといるという、そんな立ち位置のイタドリ。高知県ではよく好んで食べられているそうですね。たしかに高知出身の職場の後輩に聞いてみたら「いや、知らないですね」って言ってました。
山でも川でも、水が近くにあればどこにでも生えています。繁殖力が強く、地上部の刈っても地下茎からまた生えてくるので、移入先の欧米では侵略的な外来種とされている。ウィキ情報ですけど、シーボルトが持ち帰ってヨーロッパで大繁殖してしまったようです。
私のような山間部クソ田舎出身の御仁におかれては、小さい頃にイタドリをそのまま齧ったことがあるかもしれませんが、多くのシュウ酸が含まれているためとても酸っぱいです。
まずは採取。
採取の時期は一般に4〜5月と言われますが、4月17日時点の名古屋市内では、食べ頃よりも若干成長の進んだものの方が多かったが、探せばまだまだ食べ頃の新芽もそこそこあるという状況でした。たぶん1週間遅れていたら完全に食べ頃を逃していた。
地下茎からたくさん芽を出す植物なので群生している。
50センチ程度の淡い緑のものが食べ頃。
新芽は手で折るんですが、ポコンという音を立てて折れる感触がなんとも気持ちいい。子どもの知育にもいいのではないでしょうか、知らんけど
もっと伸びると葉が大きくなり、緑も濃くなります。これくらい成長しても、先50センチくらいのところで折ってみてポキンと折れれば食べることができます。繊維感は強くなりますが、ジャキジャキとした食感になるのでこのくらいの方が好きという人もいる。
固い根元近くの部分を折るとこんなふうに竹みたいに折れる。
さて、今夜わたしが処理させていただくのは、大量のイタドリです。
日曜の夜10時です。
約35本のイタドリの皮を剥いていきます。下処理が怖くて野草食いが務まるか。
下処理も立派なactivity
それを楽しむのが野草食いのmentality
下処理から生まれるブログのcreativity
作業に疲れたら飲むぜrooibos tea
下処理が嫌なら野草なんて摘まずに家で大人しくWANDSでも聴いてな
さて、やりますか…
イタドリの下処理には、水に長時間晒してシュウ酸を抜く方法と、塩漬けにしてシュウ酸を抜く方法の2つがあります。長期保存に向くのは塩漬けの方。
処理の手順はだいたい以下のとおり。
① 葉を取り除く
② 皮を剥く(※皮を剥きやすくするために30秒ほどサッと湯通ししてもよい)
③ 食べやすい大きさに切る
④ 水に晒す場合は水を定期的に変えながら半日〜1日、塩漬けの場合はたくさんの塩をまぶして重しをして半日
フキの皮剥きのように皮を引っ張って剥く場合は湯通し必須みたいですが、今回はピーラーで剥くので湯通しは省略。
半分に切るとこんな感じです。竹のような構造。
2時間半かけて皮剥きが完了。おじさん、人知れず頑張ったよ…
これを斜め切りにします。節から節までの内部空間が残っている状態で加熱すると中の空気が膨張して爆ぜる原因になるので、極力そういう部分が発生しないように切る必要があります。ぶつ切りではなく斜め切りにするのはそのためです。
切ったイタドリを袋に入れ、そこにたっぷり塩を入れます。調理の直前にはどうせ塩抜きすることになるので、塩辛くなるかもという心配はせず、たくさん入れてください。
重しをして一晩おきます。
袋から溢れ出す水分。どれだけ出てくるんだ。
ちなみに、皮を剥いたイタドリや水分からは、小さいうちに摘果された未成熟のリンゴのような香りがします。伝わるか分かりませんが、イタドリと同じくタデ科のルバーブの香りがこれに近い。
最後に手で水分を絞って冷凍庫で保管。1年くらいもつそうです。
それでは塩抜きして調理していきます。シンプルにきんぴらにします。
塩抜きは、たっぷりの水に凍ったまま入れて一晩。
塩抜きできたら多めの胡麻油で炒めます。
ごぼうのきんぴらのときは火を入れるためにしっかりと時間をかけて炒める必要がありますが、イタドリの場合は炒めすぎるとせっかくの食感が弱まってしまうので2分程度でいいかなというのが個人的な印象。砂糖、醤油で味をつけて、仕上げに胡麻。
おおおおお
おおおおお
完成
このジャキジャキ感が心地いい。素朴だが、もっといろんな地域で食べられていてもおかしくないのにと思える美味しさ。アク抜きしてもちょっと酸味が残るのはデフォルトです。
ニンニクと胡麻油で炒めてから鶏がらスープで煮て醤油で味付けすればメンマ風になります。これも美味しいけど、煮る工程が入る分食感が弱くなってしまうので、きんぴらのような炒め料理の方がやはりベストかなと思います。
(採取日: 2022. 4. 17)