GW中に海釣りに行ったんですが、見事な坊主でした。稚鮎とかヒイカがいるかなと思ったんですが、まだ少し時期が早く、何も釣れない端境期のタイミングだったようです。
ということで野草を摘みます。
近くの岩場にツワブキが生えていました。
ツワブキはよく庭とかに観賞用で植えられていたりしますが、海の近くの岩場なんかによく自生しています。スーパーで売られているフキと同じキク科の可食草で、香り・食味も似ていますが、フキがフキ属なのに対してツワブキはツワブキ属に属します。
折りしも祖父母が「畑にフキがあるんやけど下処理がめんどくさいからもらっていってくれ。なんなら全部持ってけ」ということで大量のフキ(ミズフキ。栽培されるいわゆる普通のフキ)をもらったので、ツワブキと食べ比べてみます。ざっくり言ってしまえばどちらもフキなんですが、食べ比べてみることでそれぞれの特質がわかるのではないでしょうか。また、下処理にも違いはあるんでしょうか。
まず見た目。上がツワブキで下が普通のフキ。茎の色からして全然違います。既に葉を切り落としてしまったが、ツワブキの葉の方が深い緑色をしており、肉厚。
下処理は簡単に言ってしまえば、ツワブキも普通のフキも茹でればOKなのですが、ツワブキの方がアクが強く、また皮も厚いので、下処理の工程が微妙に異なってきます。
まずは普通のフキの下処理。
鍋でもフライパンでもいいので、できるだけ直径の長い鍋類で下茹でをします。その直径にフキの長さを合わせて茹でます。なんでもいいから適当に短く切って茹でてしまうと、その分皮剥きの本数が増えてしまいます。
一本はみ出しているのはご愛嬌です。
沸騰した湯で5分茹でる。レシピによって7〜8分だったりと色々ですが、後で調理の過程でも火が入るので、短い茹で時間に留めておく。
茹で上がったら冷水にとる。皮剥きのときまでこのままにしておきます。
あとは頑張って皮を剥くだけです。皮の剥き方は後述します。
一方のツワブキもは、普通のフキよりもアクが強いため、皮を先に剥いてからアク抜きをするという工程になります。
まず生のまま塩ズリ。こうすることで発色がよくなり、また皮が剥きやすくなるそうです。普通のフキではやりませんでしたが、ツワブキは皮が厚いのでやっておきます。
皮を剥きやすいよう30秒ほど先に湯通ししておいてから、皮を剥いていきます。
まずバナナのように剥いておいてから、
まとめて引きます。
この皮を剥いた状態のものを2分ほど茹で、水にさらしておきます。
普通のフキ、ツワブキに共通の注意点として、生のフキには人間に毒であるピロリジジンアルカロイド類が含まれています。そのため、中毒をできるだけ避けるためにも、たっぷりのお湯で茹でることをお勧めします。ピロリジジンアルカロイド類については以前のノボロギクの記事にまとめているので、詳細はそちらをご覧ください。
下処理後の比較。左が普通のフキ、右がツワブキ。同じ料理に入れても区別できるように切り方を変えておきました。
調理していきます。まずは味噌汁。
普通のフキ
普通のフキはみずみずしく、シャキシャキと歯切れが良い。
ツワブキの食感はポリポリという感じで、こちらの方が組織が詰まっている感じがする。フキ特有の香りは両者に共通するが、ツワブキの方が香りが先鋭。全体としてツワブキの方が若干野生味がある気がする。
フキを醤油で炊いた伽羅蕗(きゃらぶき)という料理はツワブキで作るそうですが、濃い味を前提とすると確かにツワブキの方が適性がある。
とりもも肉とフキの炒めもの。
フキには煮物とかフキ味噌のような定番料理がありますが、個人的には炒めものにするのが好きです。中華風の味付けが意外と合う。
あとはだし醤油につけてお浸しにしたりして楽しみました。
ツワブキは普通のフキと比べても調理が特別面倒なわけでもなく、味も遜色がないので、非常に利用しやすい野草です。庭先にも観賞用としてよく生えているので、飢饉の際にも重宝するのではないでしょうか。
(採取日: 2022. 4. 30)