しらたまが道草を採って食うブログ

私ついていくよ どんな辛い野食の闇の中でさえ

夏休みさいごの日曜日 ぼくはパパと小鮎をつりにいった

 

タイトル、エモくないですか?まあ僕一人で行ってきたんですけど。

 

 

 

 

8月の最終週、そこはかとない淋しさが漂う季節ですね。そうです、琵琶湖流入河川での小鮎が禁漁になる前の最後の週だからです。

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ちなみに言っておくと、小鮎が禁漁になるだけではなく、主要な琵琶湖流入河川ではすべての生物の採取捕獲が禁止になります。鮎だけではなく、ホンモロコやニゴロブナなど、さまざまな琵琶湖固有種の産卵環境を守るためです。守ろう生物資源。

 

 

 

 

琵琶湖のこの時期にはいつもハスを釣っているんですが、今回は家族から小鮎が食べたいとのリクエストがあったのと、来たる息子の釣りデビューの日ために安全で楽しい釣りジャンルを開拓しなければという目的で、小鮎を狙うことにしたのです。

実は去年、1回だけ小鮎を釣りに行ったのですが小鮎たちに見向きもされずに終わり、代わりに冷水病で死んだばかりの小鮎を掬ってきました。

 

 

 

 

エサは市販の撒き餌があるほか、シラスをベースに自作する人も多い。しかし、市販のエサは去年使って全く見向きもされなかったのがトラウマになっており、また、今回の釣行は前日に急遽決まったのでシラスからエサを作る時間もない。そんなこんなで全裸で立ち往生していると、お義兄さんから「この前サバ缶とパン粉混ぜたやつで爆釣したで」との情報。パン粉なら家にある!サバ缶もある!一缶500円の高級なやつ!これで勝つる!

 

長くなりますけどちょっと余談いいですか?しますね。

 

サバ缶って6,7年前くらいにマツコ・デラックスさんの番組で取り上げられたことを皮切りにブームが来ましたけど、供給サイドの話として、ちょうどこの頃からサバ缶の原料に適したサイズ小さめのサバの水揚げが増えるようになったんですよね。この頃から、サンマの不漁、スルメイカの不漁、イワシの豊漁、サバの小型化という現象が同時並行的に発生していて、水産加工業者からため息がよく聞こえていた記憶があります(当時私は東北の太平洋側で仕事をしていて、こういった会社さんとの付き合いがありました)。例えばしめ鯖の製造を例にとると、サバは機械に入れて捌くんですが、サバが小さいと上手く機械で捌けないので、機械で扱えるくらいの大きさのサバの調達に苦労することになります。一方、サイズの小さいサバは、頭を落として体を二等分すれば缶にすっぽり収まるので、サバ缶にはとても適している。しかも、サイズは小さくても質はいいということで、高級路線のサバ缶が戦略的に製造されるようになり、それに追いつく形で需要サイドからの引き合いも出てきたということではないかと考えています。上記の話は東北太平洋側で私が見聞きしたもので、全国に敷衍できるものではないかもしれませんのでその点お含みおきください。

 

 

 

ということで釣行当日です。飲み物を買うついでにコンビニに寄ったら280円のサバ缶が売ってました。エサこれでええやんけと思いつつ、せっかくなので家から持参した高級サバ缶を使うことにしました。高級な方が小鮎も喜ぶやろ。

 

琵琶湖流入河川のうち、小鮎釣りで有名なスポットっていくつかあるんですが、義兄さんから穴場を教えてもらいました。

 

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写真だと全然わからないですが小鮎がめっちゃ泳いでます。

このスポットに限らず、この時期の琵琶湖流入河川では小鮎が普通にその辺にいます。何が釣り場の良し悪しを決めるのかは分かっていませんが、少なくとも今回行った場所は足場がいい。地味に大事な要素です。

 

 

 

 

寄せエサとなるサバ缶とパン粉を混ぜます。小鮎釣りは原理的に小アジのサビキ釣りと同じで、寄せエサの中に針を紛れさせて針に食いつかせるという釣りです。そのため、水の中で程よく寄せエサがばらけてくれるようにパン粉を混ぜるのです。一方、流れのある川ではすぐにエサがばらけて流れていってしまうのも困るので、本来は小麦粉も混ぜてエサをばらけにくくすることも必要になってきます。このエサの"持ちの良さ"と"ばらけやすさ"をいかに両立させるかが腕の見せ所となってきます。要はエサの自作の時点でもう勝負がついているということです。お義兄さんの言葉を鵜呑みにしてパン粉とサバ缶だけしか持ってこなかったけど大丈夫なのかこれ。

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ジップロックの中でパン粉とサバ缶を入れて細かくします。針にはパールの小さいビーズがついてるので、寄せエサの粒の大きさがこのビーズの大きさと同じくらいになるのが理想です。

 

市販の小鮎釣り仕掛けにはこのような螺旋状のものがついており、ここに寄せエサを詰める。丁寧にしっかり詰めないとすぐに水に流されてしまいます。
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小鮎の群れの少し上流に仕掛けを落とします。小鮎が針にかかると水中でナナナナナナナナナっていう動きをするので焦らず竿を上げてください。

釣れました。
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数時間やって気づいたんですけど、小鮎の群れって最初はエサを食ってくれるんですが、30分くらい経つと「や、もう要りませんわ(スーン」って急に興味を示さなくなります。小鮎釣りって原理的には小アジ釣りと同じでしょって考えてたんですけど、小鮎の群れなんて小アジの群れに比べたら個体数が随分少ないので、ある程度食べたらふつうにお腹いっぱいになるんでしょうね。なので小アジみたいに延々と同じ群れで釣りが続くことはなくて、少しだけ場所を変えるなどして別の群れにアプローチすることが必要っぽいです。

 

そんなこんなで、最終的に64匹が釣れました。妻からは「いつも坊主なのにやるやん」と言われました。やったね。

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さて、釣れた小鮎のサイズですが、このとおりバラツキが大きい。大きい個体は骨の固さが気になるところ。
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琵琶湖流入河川で釣った小鮎は、川底の砂を突っついてエサを食べるので、内臓に砂が溜まっています。肛門からハサミを入れて腹を開いて、内臓を出しておきます。小鮎って内臓が一番美味しいんですけどやむなしです(内臓を出しても多少は苦味を味わえます)。
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腸の内容物はこんな感じ。細かい砂が混じっています。こいついつもブログに魚の腹の内容物の写真載せてんな。
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抱卵個体もいます。
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なるべく卵は食べたいと考えた末、肛門側から腸を引っ張って卵は残しつつ内臓のみ取り出すというテクニックを編み出したけど、3割くらいの割合で砂が取りきれてなかったのでたぶんやり方がいまいちなんだと思う。
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小鮎と言ったら天ぷらですよ。

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小鮎のほか、ちくわとペコロスも揚げました。ちくわの天ぷら好きなんだよ。

 

やっぱりこの時期の小鮎は骨が固いですね。骨まで快適に食べるためにじっくり揚げれば、今度はせっかくのふわふわの身が固くなってしまうのでなかなか難しい。大きな小鮎は頭落として開いてしまった方がいいのかもしれない。8月終わりの小鮎は柔らかく炊き上げて甘露煮に、天ぷらにしたければ6〜7月のもっと若い小鮎を手に入れろということでしょう。

 

 

でも今年も美味しく小鮎を食べることができたので、夏を終えることができそうです。

 

 

 

(釣行日: 2022. 8. 27)