春の七草のなかにハハコグサ(ゴギョウ)が入っていること自体に異を唱えるつもりは毛頭ないけれども、別にハハコグサを粥に入れる必要性はないよなぁと常日頃から思ってはいる。
触ってみればすぐわかるのだが、ハハコグサの葉にはホワホワとした毛が生えており、あまり食感のいいものではない。毛、噛み切れないしね。
しかしハハコグサというのはあの毛のホワホワ感もさることながら、ライトグリーンの佇まいと控えめな黄色い花がいかにも可愛らしく、他の野の花にはない魅力をたたえている。


3月下旬、まだ花は咲いてないけれども株は大きくなってきた。多肉植物っぽくてかわいいね。




ハハコグサという野草は昔から食用とされていて、かつては草餅といえばヨモギではなくハハコグサを使ったらしい。どんなもんか一度作ってみたいとは思いつつも、手間かかりそうなので今回は他の調理法でいいかなと思うところ。しかし他の調理法といっても、毛の密生した野草の調理法といえば、このブログで何度も言っているが天ぷら一択となる。下記の記事でも挙げたユキノシタ、アカメガシワ、カラムシといった野草と比べても、ハハコグサの毛は質感がかなり異なるので、天ぷらにしたときにどうなるのか。
さて、調理していくんですけど、ハハコグサは地面に張り付いて葉を放射状に伸ばすロゼットという形態をとっていて、毛にけっこう土とかゴミが付着してるんですよ。それに毛がホワホワなもんだからなかなかきれいに汚れが落ちない。
あと、根っこがすごく固いので、根っこのままの調理は無理です。根の近くの固い茎も一緒に取り除こうとすると、葉をバラバラに解体せざるをえないの、天ぷらで揚げるのが少し面倒くさい。


下処理に苦戦しつつもなんとか揚げていく。


齧りついたときに毛が噛み切れないということはなく、普通に食べられる。そして非常にモチモチフカフカとした食感。上述したように、下処理の過程でどうしても葉がバラバラになってしまうので、それらを集めてかき揚げみたいにするしかなくて、そうなると衣が厚くなってしまうことが食感に影響を与えている面はあるんだろうが、その要因を度外視したとしてもやっぱり野草自体にそういう食感があるのではないだろうか。ハハコグサを触るとわかるけどフェルトのような触り心地であり、そりゃ食感もそうなるよねといった具合。
味はというと、特にこれといった風味はない。悪く言えばなんの印象もないのだが、クセもなく食べやすいというのは野草としてそれ自体が素晴らしい特質です。こんなクセのない野草に鎮咳や去痰といった薬効があるんだから、さぞ珍重されたんだろうなぁ。
(採取日: 2025. 3. 20 / 3. 29)
*花の写真は2025.4.19