しらたまが道草を採って食うブログ

野食をしていたら他の人は消えてしまった。別ブログでは酒飲んでます→ https://shiratamarr.hatenablog.com/

散歩メシ ~ クズの新芽とムラサキゴテンのお浸し

 

最近寒くてネタに困っているので、夏頃の小ネタを繋ぎで書いておきます。

 

 

散歩すると、どこにどんな野草が生えているかよくわかって楽しい。家の近所に何がどのくらい生えているかを押さえておけば、無一文になったとしても植物質はしばらく確保できるわけです。これからの不確実な時代において大切なのは、金を稼ぐ能力よりも、金がなくても楽しく生きていく能力です。なので、散歩は、よいです。

 

運動がてらその辺を散歩していると、食べてみたかった野草を見つけたので採ってみた。

 

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上がクズの新芽、下がムラサキゴテンの若葉。

クズはマメ科クズ属の植物で、土手、空き地、山どこにでも蔓と葉を茂らせているやつ。その名の通り、根っこのデンプンを精製したものが葛粉となるし、昔から秋の七草の面をしているが、いろんなところに蔓延りすぎてもはや対処できなくなっている在来の侵略的植物というイメージが強い。

ムラサキゴテンツユクサムラサキツユクサ属の園芸植物で、庭先とか道路脇の植え込みにほぼ野生化したような状態で生えていることが多い。

 

今回これらを食べてみようと思ったきっかけのブログはこちら。何か食べてみようと思ったときは、とりあえずこのお二方のブログを参照することにしている。

 

クズの芽が美味すぎてやる気出てきた | 野食ハンマープライス

 

ムラサキゴテンの味見 | ざざむし。

 

 

 

クズはサッと茹でて皮を剥く。

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ムラサキゴテンはちょっと肉厚なので1分くらい茹でる。

 

だし醤油をかけて完成。

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クズはコクがあって本当に美味しい。こんなに味が濃いのかと驚く。調理の面倒臭さに目をつむればすごい食材なのでは。

ムラサキゴテンは見た目に反して全くクセも苦味もなく美味い。ツユクサもクセのない美味しい野草なんですが、ちょっと食べごろを過ぎた個体になると、葉にゴワゴワ感が出てきて舌に引っかかるような食感になってしまうんですよね。ムラサキゴテンの方は葉の表面が滑らかで食感の点では完全に上位互換。葉がツユクサよりも厚いためよりシャキシャキ感が際立つ。

その辺に生えてる草も侮れないですね。

サザンカの花びらのジャムは苦味が強く出過ぎてしまった

晩秋になると至る所にサザンカが咲いている。あんなにたくさん咲くのに、そのまま鑑賞されるだけで散っていくなんてもったいないと思っていたところ、ツバキの花が食べられるという話を聞いたので、それならばサザンカもいけるのではないかと思い至った。どちらもツバキ科ツバキ属の植物なので。

 

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開ききった花よりも、開花途中の花の方が瑞々しくて美味しそうなのでそういうものを選んで採っていく。

 

生で食べてみると、バナナの白い筋に苦味を加えたみたいな味でした。この前の金木犀のときにも思いましたが、花って苦味がけっこうあるんですよね。

持っていた野草レシピ本ではツバキの花を天ぷらとジャムにして食べていた。今回はジャムにしてみます。白ワインに砂糖と花びらを入れて煮ていきます。

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ペクチンがないので、とろみ付けに片栗粉を入れます。あんかけか。

 

 

まずはバケットに添えて。
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苦味がまだ生きてますね。白ワインベースなので香りはいいけど、パンに添えるにはちょっと苦味が強いかな。料理に合わせる方がいいかもしれない。

 

ということで鶏モモ肉のソテーにさざんかジャムで作ったソースを合わせる。肉を焼いた後のフライパンに白ワイン、ジャム、バター、塩胡椒。

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肉との相性はいい。味の強い素材と合わせたことで、苦味も中和されてる気がする。でも僕、肉にフルーツソースみたいな甘いソースを合わせるの、あんまり好きじゃなかったわ。

 

あとはチーズと一緒にホットサンドにするのと、パウンドケーキに混ぜ込んで消費したいと思います。

あらかじめ塩を振っておくとかリキュールとかにつけるとかして、タンニンを不活性化させてから調理したら、もうちょっと苦味が抑えられたかもしれません。たぶんサザンカはもうやらないですが、もし次ツバキを調理することがあれば留意したいと思います。

 

 

最後に、サザンカやツバキはチャドクガの食草なので、木に近づく際にはご注意ください。

 

 

(採取日:  2020.12.13)

 

ヨシの芯は味は良いけど歩留まりが悪すぎる

 

野食系の漫画が近年いくつか出ておりまして、その中の草分け的な作品である、野食家の茸本朗さん原作の『僕は君を太らせたい』を読んでいたら、主人公達がヨシ(葦〈アシ〉と同じ)の芯を食べていた。

僕は君を太らせたい!(1) (ビッグコミックス)

原作者のブログをあらためて見てみると、やっぱり食べてる。

竹の子ならぬ「ヨシの子」は南日本のネマガリタケ的存在になりうるか | 野食ハンマープライス

 

ヨシといったら川原にいくらでも生えているあいつだけど、茸本さんのブログみたいな立派なヨシはお目にかかったことがない。

 

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その辺に生えてるのはせいぜいこのくらいの太さのもの。季節は12月、季節外れな新芽ではあるが、見つけたので数本だけ採ってみた。この日は他にたくさん食材を調達し終えていたので、ほんのお試しで。
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たけのこのように、真ん中の芯の部分だけ取り出します。
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すっくね…

試しに生で齧ってみると、ポリポリとした食感でほんのり甘みがある。たくさん集めることさえできれば、いろんな調理に使えそうなポテンシャルを強く感じる。

 

わざわざ調理方法を考えるほどの量でもないので、他の食材と一緒に天ぷらに。
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たけのこやマコモダケの系統の香ばしさがあって味は良い。特に灰汁抜きはしなかったけど違和感なく食べられた。しかし歩留まりが悪いのが残念すぎる。

 

 

ところで、ネットでヨシの可食性について調べようとしたのだが、情報があまりない。ヨシの根茎を乾燥させたものは蘆根(ろこん)という漢方になるらしいのだが、食材として利用した話は、パッと調べた限りでは、上述の茸本さんのブログのほかには、ヨシの葉を茹でて食べることを試みた方のブログと、パウダーにしてケーキ等に練り込んで商品化しようという地方の取組みの記事があるくらいだった。

ヨシは汁が甘い - 雑草生活 ~weed

【関西の議論】河川敷のヨシを食べる 枚方・交野の「リサイクル」街おこし(1/3ページ) - 産経ニュース

イネ科であるヨシの繊維は人間の胃では消化できないはずなので、ヨシの葉を食べたあと腸に異変がなかったかが大変気がかりである。

 

 

今回食べてみた限りでは、美味しいにもかかわらず実食例が少ない理由がとても腑に落ちた。よほど太いやつが見つからない限り、たぶん2回目はやらないと思います。

 

 

(採取日: 2020.12.13)

野良のウチワサボテン〜果実編

川べりに場違いなウチワサボテンが生えていたので食べてみたという話。前回は本体(茎節)を食べました。

 

サボテンの実という果物は、なんとなく子どもの頃からの私の憧れだった。これほどエキゾティズムをくすぐられる果物はなかなかない。

ウチワサボテンの実はトゥナと呼ばれ、メキシコやイタリアで食べられているらしい。ウチワサボテンにも色々な種類があり、実を食べるための品種があるのだとか。ググってみると、酸味がありつつもスイカを思わせる甘みもあって美味しいとのこと。

 

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たくさん実ってるので、熟してそうな個体を選別して頂いていきます。実にも棘が普通にあるので痛い。

 

とりあえず断面を切ってみる。

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ビーツのような鮮やかな赤。食べてみると鮮鋭な酸味がある一方で、甘味はほぼない。要はひたすら酸っぱいので、とても生食できるようなものではない。この時点で早くも期待は裏切られたが、ちゃんと脳が果物と認識してくれたので、調理すれば美味しいのではないかという可能性を十分感じさせてくれる。

ただし、中身の7割は種。しかもこの種がえらく固い。サボテンの実の食べ方を紹介したサイトの記述をよくよく見てみると、「種は多くて固いので、そのまま飲み込みます」。正気か?

あと、本体ほどではないけどネバリがある。

 

色素は強く、ほんの少し触っただけでも皮膚に色が付きます。果実1個を素手で触っただけでもこんな感じ(1回石鹸で手を洗ったあと)。

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1週間も残っているほどではないけど、1〜2日は残ってるし、服に付いたら厄介だと思われる。この手で会社に行って、上司に手を見せながら「なんか手が変色してきたので明日休んでいいですか?」って言えば、今すぐ帰れって言ってもらえると思うので試してみて下さい。

 

とりあえず、今回はジャムにすることに決定。種を取り出すのが面倒なので、皮だけ剥いたら丸ごと煮込んで、果肉が崩れてきたら濾して種だけ取り除くことにします。


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ネバリのおかげで早速トロトロになってきました。明らかにペクチン由来ではないとろみ。

 

ざるで濾していきます。
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ちょっと予想していたのですが、果肉は煮込んでも形をいつまでも保っていて、濾そうにもなかなか潰れてくれない。そこで、ざるの中で混ぜて果汁を抽出しつつ、果肉は手で選別して鍋に移すことに。これだけ手がかかるなら、初めから種を取り除いておいた方がよかったかもしれない。


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煮詰めて適度な粘度になったら完成。


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バタートーストに塗ってみるとこんなにいい色。何も知らされずに出されたら何かベリーかと思うだろう。

食べてみると、酸味が爽やかでなかなか良い。ラズベリーのようなキュッとなる酸味。その中にどこかビーツやターメリックのような土っぽい香りがあるが、これがまたポイントになっていていいですね。

美味しいのかと身構えていたが、ふつうに美味しいのでトーストに乗せるやらパウンドケーキに混ぜるやらですぐに消費しきってしまいそうです。

 

ただ下処理の段階で棘を確実に処理しておかないと、服やタオルに棘が付着して、どこからともなく棘が刺さってくる現象に数日間悩まされます。今回食べたウチワサボテンの棘はとても小さく、風で飛んでしまうくらいの軽さなので、袋の中とか流しの中で洗いと皮むきの工程を済ませておき、棘を拡散させないことがストレスなくサボテンを扱うコツかなと思う。

野良のウチワサボテン〜本体編

川で釣りをしていたら突如目の前に現れた多肉植物

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この形からしてウチワサボテンでしょう。

多肉植物って、園芸でも大変人気があって、インテリアのようにこじんまりとした鉢にちょこんと植えられていたりするけども、場違いな場所で葉を縦横無尽に広げているこのウチワサボテンは、多肉植物はたくましくなければならぬという謎の説得力を醸し出していた。多肉植物も人間も、飼い慣らされてはいけない。

でもウチワサボテン属に属するセンニンサボテン(オプンティア・ストリクタ)が「世界の侵略的外来種ワースト100」に選定されてるんですね。日本でも外来生物法に基づく生態系被害防止外来種(旧 要注意外来生物)に指定されてる。

 

 

ウチワサボテンの本体と果実が食用になることは知っていたので、採取してみます。野生化しているウチワサボテンも食べられるのかは、よく知りません。見た感じ、食用ウチワサボテンとされるものと同じもののように見えますが、どうなんでしょうか。ウチワサボテンの本体部分はノパル、果実はトゥナと海外では呼ばれるらしい。

ウチワサボテンの「本体」ってさっきから言ってますが、あれは茎節(けいせつ)と呼ばれます。葉と言いそうになるが、サボテンの葉は棘に変形しています。

 


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採取しようとするとすぐに棘が刺さる。この個体は一見すると棘が小さくあまり痛そうに見えないが、小さい無数のカエシがたくさんついてるので少しでも触れれば確実に刺さってくるし、痛みもある。

 

 

 


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果実は憧れの果物だったので多めに採りました。美味しくなかったらどうするんだ。

 

今回は葉を調理してみます。いろんなサイトを見てみると、ステーキにするのが鉄板みたいです。ステーキだけに鉄板ってか。親に向かってなんだその爆笑ギャグは。

 

棘に気をつけながら皮を剥きます。
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ためしにひとかけ生で食べてみる。青臭さと酸味の塊。あとヌメリがすごい。これは美味いのか?


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ニンニクオイルでじっくり焼いていきます。


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うん、青臭くて酸味があって、ヌメリがすごい。生で食べたときとほとんど感想変わらないな。これは果たして美味いのか?

 

まず、酸味があるということは聞いてたけど、想定してた以上の酸味。イタドリをかじったときの酸味くらいあるんじゃないだろうか。この酸味はなんなんだと思って調べてみたら、どうやらリンゴ酸のようです。サボテンのように熱くて乾燥してる場所に生息している植物は、光合成のために二酸化炭素を取り込もうにも、そのために気孔を開くと水分が蒸発して水分を失うことになるので、夜のうちに二酸化炭素を取り込みます。それをリンゴ酸に換えて貯蔵し、日が昇ったらリンゴ酸を二酸化炭素にまた変換して光合成を行う。これをベンケイソウ型有機代謝(CAM)というそうです。

同じく多肉植物であるスベリヒユが酸っぱいのも、やはりリンゴ酸によるもののようです。

ちなみに、今回食べたものがいわゆる「食用ウチワサボテン」に該当するのか確証はないものの、食用ウチワサボテンには血糖低下、コレステロール低下、抗酸化、抗動脈硬化などの効果が示唆されているようです。はえ〜すっごい(日本酒を飲みながら)

参考: 堀部貴紀『食用ウチワサボテンの栄養特性と生理作用』生物機能開発研究所紀要

https://www3.chubu.ac.jp/documents/faculty/horibe_takanori/content/1016/1016_999a3b5aecfba33dada68920fe692ddf.pdf

 

 

サボテンステーキを食べていたら何やら喉がイガイガしてきました。水をさらしたり下茹でしたりしなかったので、シュウ酸とかサポニンあたりが悪さをしてるんでしょうか。先ほど話に出たイタドリの酸味の主成分はシュウ酸で、調理の際は水にさらしたり塩揉みしたりしてシュウ酸を抜きますね。

 

あと、ヌメリが想像以上に強い。オクラ程度の話ではないし、長芋の感じとも違い、ちょうどメカブみたいな感じ。乾燥地帯に生えるのでこのヌメリが貯水に役立っているのだろう。成分はメカブとか昆布の同じフコイダンなんだろうか。調べてもいまいちよくわからないが、ウチワサボテンエキスを配合した化粧水とかがあるんですね。「砂漠の象徴・サボテンの長時間保湿パワー!」だから成分はなんやねん。

 

 

ステーキを食べても、青臭くて酸っぱいネバネバという印象しか持てなかったので、先人の言う通り、サラダで食べてみる。ドレッシングの酸味によりサボテン自体の酸味が気にならなくなるし、サラダなら青臭さも味のうちということにできるだろう。


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あ、全然アリ。これは普通に美味しい気がする。サボテン側は何も変わってないのだが、周りのテンションがサボテンと合致していることにより、なんだかサボテンが活き活きしている。陽キャの集まりに陰キャは馴染めないみたいな、要はそういう話である。

しかしやっぱり喉がイガイガするな。大人しく茹でることにします。


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やっぱりアクが出てますね。


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鰹節とポン酢をかけてみる。見た目は茎わかめ

これで喉のイガイガはなくなった。ネバリも酸味も穏やかになりました。これはこれで全然食べられるが、やはり青臭さは健在で和食として食べるの葉ベストな食べ方ではない気がする。

下茹でしてサラダに入れるのが一番シンプルかつ最適な調理かもしれない。

 

(採取日:  2020.12.13)

 

 

【参考URL】

中部大学 堀江貴紀研究室HP

堀部研究室(園芸学研究室) 中部大学|サボテン 研究 サボテン研究 堀部貴紀 多肉植物

【ヒヤリハット報告】ノボロギクを食べそうになった件

可食な野草だと思い込んで、毒草であるノボロギクを採取しました。

調理前に確認して気づきましたが、危うかったので学習も兼ねて報告いたします。

 

 

 

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ノボロギクはキク科キオン属(もしくはノボロギク属)のヨーロッパ原産の一年草ノゲシのような花を咲かせます。成長したノボロギクの写真はこちらが参考になります。

ノボロギク

 

ノボロギクにはピロリジジンアルカロイド類(PAs)の一種であるセネシオニン(C18H25NO5)という毒素を含んでいます。ピロリジジンアルカロイド類とは、その名のとおりピロリジジン(C7H13N)を基本骨格とするアルカロイド*のこと。特定の化学物質名ではなく、そのような構造を持つ物質の総称で、600種類以上の化合物が含まれている。

* アルカロイド = 含窒素有機化合物のうち、アミノ酸(とその結合体であるペプチド・タンパク質)および核酸以外のものの総称で、生物の生理的調整機能に対して何らかの作用を持つ(= 生物活性を持つ)もの。

 

ピロリジジンアルカロイド類は、ムラサキ科、キク科、ラン科などの植物に含まれていることがあります。山菜として一般的なフキ(キク科フキ属)、ツワブキ(キク科ツワブキ属)にも含有されているが、ピロリジジンアルカロイド類は水溶性であり、灰汁取りの過程で取り除かれるため健康被害が出ることは稀なようです。さらに、ミツバチが含有植物から花粉・蜜を集めることでまた蜂蜜中にピロリジジンアルカロイド類が含有されてしまうリスク*もあるらしいです。

* ただし、農林水産省の2018年の調査によると、日本で市販されているハチミツのピロリジジンアルカロイド類の含有濃度は、人の健康に悪影響を与えるリスクは無視できるレベルであった。

https://www.maff.go.jp/j/press/syouan/seisaku/attach/pdf/180810-2.pdf

 

ピロリジジンアルカロイド類には強い肝毒性があります。

PA 中毒の最初の兆候は、VOD(静脈閉塞性疾患)で、腹部の右上部の重苦しい鈍痛、急速に腹水がたま ることによる腹部の著しい膨張、時には尿量減少、多量の胸水などが現れる。これらは、はっきりしない症 状や持続的な肝臓腫大を伴う亜急性症状としても現れることがある。肝硬変に進むケースも多い。死亡原因 はは急性期の肝不全、もしくは肝硬変からの食道静脈瘤破裂による。動物試験等の結果から、肺高血圧症な ど肺疾患を生じる可能性もある。

(国立医薬品食品衛生研究所「食品安全情報」No.20 (2003))

 

 

 

 

 

こういう毒を含むノボロギクの扱いですが、ネット上、それどころか野草図鑑でも食用とされていることがあるようです。

野草食いの先人たちのノボロギクへの対応もまちまち。毒性があるからということで食べることはやめている方(にゃごにゃさん)(にゃごにゃの野草料理: 多摩川で野草摘み)、ピロリジジンアルカロイド類が水溶性であることの認識の上でよく茹でて食べている方(サバイバル節約術)、キク科の植物は毒がないと思っていいなどと抜かしている輩など、様々。

なぜ色んな情報が飛びっているのかを考えると、第一には「茹でれば食べられる」ということの受け止め方が人によって違うこと。対処可能な毒は恐るに足らずだというのは確かにそうなのだが、だからといって毒がないかのように扱ったり、毒がないと誤解するのはまずい。第二の理由としては、昔は野草としてよく食べられていたベニバナボロギク(ベニバナノボロギクと誤称されることもある)と名前が似ていて混同されやすいということかなと。かくいう私も、たぶんこの理由でノボロギクを食用として誤認してたんですよね。ベニバナボロギクは野食家の茸本朗さんも食べられてますね。→ 野良春菊ことベニバナボロギクは野菜か? 毒草か? | 野食ハンマープライス

 

茹でれば食べられるなら茹でて食べればいいじゃないかという話です。しかし、ノボロギクを食べようとしていたときの私は毒性を認識していなかったし、しかも天ぷらにしようとしてたんですよ。そのまま食ってたら肝臓やられてましたね。だから今回はヒヤリハットだったんです。

好奇心はあるので、次回は少量を茹でて試食してみようかなと思いますが、自分だけの体ではないので、念のため私の中ではノボロギクは毒草と位置付けておこうかなと思います。

 

 

【再発防止策】

・食べる前に必ず野草図鑑を確認し、毒性が確認された場合、または食毒不明の場合は食べないようにする。

・単一のネット情報に依存しない。必ず書籍にあたり、またネットも複数の情報を参照する。

・チェックシートを作成し、複数人によるトリプルチェックを励行。チェックの際は指差し確認を行う(ヨシ!)

 

 

参考文献・URL

・船山信次『毒の科学 毒と人間のかかわり』

食品中のピロリジジンアルカロイド類に関する情報:農林水産省

食品中のピロリジジンアルカロイド類に関するQ&A:農林水産省

https://www.nihs.go.jp/hse/food-info/chemical/pyrrolizidine/pyrrolizidine.pdf

初冬のキク科天ぷらパーティー 〜 ノゲシとアレチノギク

ナマズ釣りに行ったときに野草も採りましたので、今回は野草のレビューです。

ナマズを泥抜きせずに食った話はこちら

 

この寒い季節に生えてる野草というとやはりロゼット型の草がメインになってきます。

はい、やっぱり川岸にわんさか生えてますね。

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ノゲシ。キク科ノゲシ属の植物で、葉っぱの形が同じくキク科(ただしタンポポ属)のタンポポによく似ている。花はタンポポほど大きくないが、やはりタンポポに少し似た黄色の花を咲かせる。どこにでも生えているので見たことがあるはず。

ノゲシ - 植物図鑑 - エバーグリーン

同じくキク科ノゲシ属で葉っぱがチクチクしているオニノゲシは以前食べたことがあるが、なかなか苦味があった。↓

 

タンポポも以前食べたが、やはり苦味があるものの許容範囲内で、コクのある味わいであった。↓

 

さらに、葉っぱを見る限りではキク科っぽいやたが他にもいた。

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調べてみる限り、たぶんアレチノギク。葉の表裏に柔らかい毛が密生しているし、秋に発生しロゼットで越冬するとあるので、条件には合致してそう。紫がかってないのでヒメムカシヨモギではなくアレチノギクの方。(アレチノギクなのかオオアレチノギクなのかは不明。)

芝地の雑草の見分け方と防除 (2)

これ、ほんとにその辺の荒地でこれ見よがしに背高く生えまくってるやつですね。今までちゃんと気にして見たことがなかった。調べてみると食べている人もいるようなので、試しに採ってみます。

 

これまでのキク科の雑草シリーズではどれも茹でで食べているが(オニノゲシは苦すぎて最後は炒めたが)、この苦味と香りからすると、天ぷらにするのが一番美味いのではないかという直感があった。釣れたナマズはフライにする気満々だったが、面倒くさくなったので全部天ぷらにしてしまいましょう。

 

 

 

アレチノギクの全体像。ロゼットとしては手のひらサイズなのに、何なのこのたくましい根っこ。こりゃ増えまくるわけだ。

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ノゲシは根っこもタンポポの似てるので、写真は割愛。

 

それぞれ生で齧ってみる。どちらも思ったほどの強い苦味がない。アレチノギクはちゃんと幼苗を選ばないと繊維が強いので、小さい株だけを選別。

 


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ナマズの記事に載せていた写真の使い回し。

 

アレチノギク
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ノゲシ
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まずはノゲシから。サクサクで美味い。春菊みたいな香りで普通に美味い。目隠しして一口だけ食べさせられたら春菊と普通に間違えるよこれ。やるやん。

 

アレチノギク。香りは大人しいものの、やはりキク科特有の香りはほのかにあり、表面のうぶ毛のおかげなのか、もちもち感がある。なんだよ、これもけっこう美味いぞ。今まで本当にただの雑草としか認識してなかったので、ちょっとテンション上がりますね。

 

 

この時期、採れる野草なんて限られてくるので、安定してどこにでも生えてるこの子らはかなり有難い存在です。

 

 

ちなみに数日後、実家でとれた春菊が送られてきた。春菊美味すぎワロタ。