しらたまが道草を採って食うブログ

私ついていくよ どんな辛い野食の闇の中でさえ

カマキリが入水する季節

 

今回は何も食べません。ただの自然観察です。

 

 

 

 

今回の琵琶湖釣行で何度か遭遇した光景。

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やたらとカマキリが溺れている。

ご存知の方もいらっしゃるかもしれないが、ハリガネムシに寄生されたカマキリやカマドウマといった昆虫が入水自殺するというやつだと思われます。知識として知っていたものの遭遇したのは初めてでしたが、実際見るとかなり不気味です。だって水の上で足掻くこともなく、ただプカプカ浮かんでるんですよ。

この状態になったらカマキリがもう復活することはないですが、試しに下の写真のカマキリを陸上に救い出してみても、歩き始めることもなくその場にじっとしているだけでした。生きる意志を完全に失っているかのようでした。

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ハリガネムシとはこんな寄生虫です。

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寄生虫界のアイドルと言えばこのハリガネムシか、カタツムリに寄生するロイコクロリディウムかという感がありますね。個人的な感想ですが。

 

 

 

ハリガネムシの生活環は以下のとおり。キャリアプランを描く際の参考にしてみてください。

  1. 水の中で孵化
  2. カゲロウやユスリカなどの水生昆虫の体内に取り込まれる
  3. 上記の水生昆虫が羽化
  4. カマキリ等の陸生昆虫が3を捕食する際に、その捕食者の体内に取り込まれる
  5. ハリガネムシは4のカマキリ等を操作して水に飛び込ませる
  6. カマキリ等の尻から水中に脱出、水中で交尾を行う(→ 1に戻る)

 

この時のカマキリ等を宿主(しゅくしゅ)と呼び、幼生期の一時期を過ごすために寄生するだけの先、ここでのカゲロウ・ユスリカ等を中間宿主と呼びます。

 

 

 

どうやってこんな繁殖戦略を確立したのかということを考えるだけでも既に面白いですが、さらに面白いのが、ハリガネムシが起こす昆虫の入水自殺が、渓流のマス科の魚の主要なエネルギー源となっているという話です。

 

この研究結果を発表した神戸大の佐藤先生らのグループは最近、ハリガネムシに寄生されたカマキリが水平偏光に誘引されて水に飛び込んでいるという研究結果も発表している。

 

 

宿主操作型の寄生虫ってロマンがありますね。

 

 

 

(観察日: 2022. 8. 27)