しらたまが道草を採って食うブログ

私ついていくよ どんな辛い野食の闇の中でさえ

泥抜きせずナマズを食べたけど幸いながら美味かった - ナマズの天ぷら

【2021.6.18追記】 

① 本記事では泥抜きせずにナマズを食べていますが、「ナマズを食べるときには泥抜きする必要がない」ということを必ずしも意味しません。私が今回のナマズを釣った初冬という季節に鑑みると、あまり餌を食べなくなっており、したがって体内のゲオスミン等の物質がある程度代謝されていたため、ほとんどにおいが気にならなかったという可能性が高いです。ナマズを食する際は、季節的要因、生息していた場所の水質、個体の大きさ(成長途上の個体なのか成熟した個体なのか)などを総合的に勘案して判断してください。

 

② 当時は「内臓にいた寄生虫顎口虫だろうか」と書いていますが、画像を見る限り顎口虫ではないのではないかと思えてきました。

顎口虫|「食品衛生の窓」東京都福祉保健局

おそらく線虫の一種だと思われますが、線虫はただでさえ種類が多く、そのうえナマズに寄生する線虫もかなりの数に上るようです。

https://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/files/public/4/43828/20170818095625922791/BullHiroshimaUnivMuseum_8_61.pdf

https://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/files/public/4/45338/20180323150039919222/BullHiroshimaUnivMuseum_9_121.pdf

この先、特定できる見込みは全くないですが、折を見て調査したいと思います。いや、やっぱり調査しないかもしれません。

 

 

 

〜以下、本編〜

 

 

 

注意: 本記事では魚の内臓の写真を掲載しています。苦手な方はご注意ください。

 

 

ナマズ釣りっていつのまにか人気になりましたね。昔からルアー(擬似餌)によるナマズ釣りには一部にファンがいたけど、この十数年で一気にメジャーなターゲットになったような気がする。でもその気持ちはものすごくわかる。その辺の浅い川とか田んぼの間を流れる水路に、何十センチもある肉食魚が生息してるなんて、ロマンがある話じゃないですか。

かくいう私もナマズという魚がとても好きです。ガキの頃、台風の翌日に近所の水路を覗きに行ったらナマズがたくさん避難してきていて、それを近所のジジイがタモで掬っていた光景を思い出すだけで、大人になった今も、胸の奥と下半身が熱くなります。

 

 

せっかく時間ができたので今のうちに釣り場の開拓をしておこうと思い、愛知県内の某河川にやってきた。特に何を狙うともなく、バスでもナマズでもニゴイでも何でもいいから釣れればいいやという、いつものフリースタイルで実釣開始。

20分が経過する頃、私は何かいい野草がないかと辺りをキョロキョロし始めます。そうです、もう「今日はたぶんボウズだな」モードに入っています。私の人生の座右の銘は「自分にも他人にも期待するな」でして、羨み、妬み、怒り、苛立ち、欲望など人間の苦しみのもとになる感情は、ひとえに自分への期待あるいは他人への期待から生ずるものだと思っています。心穏やかに過ごすにはこの世に期待しないこと。釣りに行っても、何かが釣れるかもしれないと期待するな、数時間後の自分を悲しませるだけなのだから。大人しく野草でも摘んで帰るくらいがちょうどいい。

 

オカッパリは足で釣るという言葉がありまして、とにかく移動しながらの釣りになります。ルアーを投げつつ、アクションを加えつつ、その辺をキョロキョロしつつ、スマホいじりつつ、ルアーを回収しつつ、歩きつつ、という具合です。

野草を見てたら、竿にアタリらしき反応が出た。どうせ藻にでも引っ掛かったんだろう。どうせ魚ではない。期待はしていないが、とりあえず合わせるだけ合わせてみましょう。

 

 

 

フィーーーッシュ!!!!!!(大声)

 

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ナマズトップウォーターのルアー(水面に浮くタイプのこと)での釣りが一般的なんですけど冬という季節を考えてボトムを狙ってたんですよ こんな時期の餌といえば動きが早くないドジョウやヨシノボリのような川底型の小魚かまだ冬眠に入っていないザリガニ・エビになるだろうと思ったのでザリガニを模したルアーを川底でゆっくりと動かしていたんです 冬のザリガニパターンが見事ハマったわけですよ(オタクならではの早口)

サイズは43センチ、そこまで大きくはないですが、釣れてくれてありがたいし、愛嬌があって可愛いですね。

食べるけど

 

 

 

はい

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現地で血抜きして持ち帰りました。泥抜きしてません。川はそんなにきれいじゃなかったです。大丈夫なんでしょうか。

 

ナマズ調理の鉄則は、表面のヌメリを徹底的に落とすこと。魚のヌメリを取る方法はいくつもあり、また魚種によっても異なるが、今回は熱湯でヌメリを固める方法をやってみます。

お湯をかける前

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かけた後。わかりにくいけど表面がちょっと白くなってる。
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包丁でヌメリをこそげとった後
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包丁についている黄色いやつがヌメリ。ヒレについてるヌメリも落としていきますが、包丁だと取りにくいので細かいところはスポンジでこすります。


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熱湯で表皮の色素がどこかに行ってしまいましたが、まだ皮はついています。

 

3枚におろす前に観察してみましょう。


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歯。けっこうするどい。手袋していない指で口を掴むと傷ができる程度には痛い。


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胸びれ。鋸歯状のとげがあってこれなめちゃくちゃ硬いし痛い。捌く前に胸びれは切り落としておきます。キッチンバサミでは歯が立たなかったのでニッパーを使いました。


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内臓。食欲旺盛でないこの時期だからか、思ったより内臓の容量が少なめ。卵巣がついてるので女の子ですね。


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このもじゃもじゃしたの何?


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胃袋の表面についてる線状のやつは寄生虫ですね。

あ、さっきのもじゃもじゃは全部寄生虫か。ためしに水滴を垂らしてたらモニョモニョし始めました。ふつうに何かの器官かと思ったわ。顎口虫というやつですね。どの顎口虫なのかまではわかりません。ナマズなので日本顎口虫か有棘顎口虫でしょうか。いや、これも食べてみてよっていうリクエストは今の自分には受け入れられませんね…

顎口虫|「食品衛生の窓」東京都福祉保健局

https://www.fsc.go.jp/sonota/hazard/H22_31.pdf

 

胃を開いて未消化物を見てみましょう。
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水温が下がってきていてあまり口を使わなくなっているのだろう、ほとんど未消化物は残ってない。唯一残っていたのが何かの小魚。ドジョウあたりでしょうか。


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卵巣は食べます。

 


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3枚におろして皮を引きました。半身は失敗してボロボロになってしまった。こうして見ると、何の身か全くわからない。そして匂いを嗅いでも泥臭さやアスファルト臭さ(ゲオスミン)は皆無。これはいけそう。

 

 

野草も採ってきているので、天ぷらにします。こいついつも天ぷらにしてんな。
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美味い!程よく脂が乗っていて、ふわふわの身質。旨味もしっかりある。臭みは皆無、かなり上等だと思う。

 

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例によって骨もじっくり揚げて食べる。頭に近い骨は太くて硬かったが、それ以外は問題なし。

 

 

結論としては、泥抜きなしでも美味しく食べることができた。ただ、冬場の餌をあまり食べていない個体のため臭みが少なかった可能性もあるので、あと何回かサンプルを試してみる必要はありそう。

 

 

(釣行日: 2020.12.13)