繊維が強くアクやエグ味がありがちな野草にあっては、新芽しか食用に向かないものはザラにあり、その意味で芽吹きの季節である春は野草食いにとって本当に有り難い季節である。どんな植物でも新芽を見れば反射的に美味しそうにすら見える。
以前から食べてみたかった野草の新芽も出てきましたよ。
トウダイグサ科アカメガシワ属の高木。まじでどこにでもある。山野、河川敷、空き地、道路の植え込み、向かいのホーム、路地裏の窓、明け方の街 桜木町、こんなとこにいるはずもないのに(いる)。なんなら住宅街の側溝でも芽吹いてたりする。なので、レア度からすると雑草・雑木と呼んでもいいレベルである。
しかし民間薬として昔から用いられており、樹皮や葉を煎じて飲むと健胃作用があると言われている。
うちの近所にもニョキニョキ生えている。しかしこの新緑の季節に新芽の赤が差し色になって可愛いんですよね。
新芽はポキンと折れるところで折っていきます。
試しにその場で生で食べてみましたが、苦味があるけどわりと穏やかな苦味で、口の中にちょっとした清涼感が残る。この苦味はタンニン類であるベルギニンという成分を含み、これが健胃・整腸作用を持っています。
群生していたのでサクッと5分くらいで採り終えました。
葉の裏にはわりとゴワめな毛が密生しており、この毛が赤みを帯びているので葉の裏全体がぼんやり赤みがかって見える。
葉を水洗いするとこんな風に赤い毛が水に浮きます。
アカメガシワは天ぷら専門みたいな野草らしいので、素直に揚げときます。茹でると毛の食感が気になるけど、天ぷらにすると毛が気にならないし、厚みが出るのでモチモチした食感に変わるんですよね。
しかしブログの構成的には2記事連続で天ぷらにするのはいかがなものかと思いますね。
揚げた。
赤みが取れました。
美味い。苦味は気にならず、食べた後に香りが残るような残らないような、しかしたしかに微妙な爽やかさがある。インパクトはないけどクセがなくて大変食べやすい。立派に天ぷらのネタやってますよこの子。
なんなら、ふきのとうとかタラとかコシアブラみたいな個性の強いメジャー山菜と並べたら逆に箸休めみたいなポジションでなんとか生き残れるんじゃないだろうか。不人気メン推しの一部の諸兄からは愛されそうな気がする。メジャー山菜に比べると圧倒的に入手が容易なので、もっと好んで食べる人が多くてもいいんじゃないでしょうか。
ちなみに試しに茹でて食べてみたら、毛がゴワゴワしてて苦味がめちゃめちゃ残っていて、いかにも葉っぱを食べているなぁという感じでした。
俺たちの春はまだまだこれからだ!
(採取日: 2021年4月5日)