今回はうちの近所で、1時間以内にいろんな野草を採るというやつをやります。子守りの合間に1時間だけ時間をもらったので、時間までに戻らないとキレられるからです。
普段ベビーカーで赤ちゃんを散歩に連れていくときに、どこにどんな野草が生えているかチェックしているので、だいたいの目星はついています。
うちは住宅街にありますが、おかげさまで近くに里山があるし、その道すがらの植え込みにもいろいろ生えています。野草採りには案外いい環境です。
まずはノゲシ。
ノゲシにはいわゆるハルノノゲシ(正式名称がノゲシ)とアキノノゲシがあり、その名のとおり、花が春に咲くか秋に咲くかの違いがあります。この2種の違いをざっと挙げると以下の通りです。
□ 分類
□ 時期
ノゲシ→春に開花
アキノノゲシ→晩夏〜秋に開花
□ 花
ノゲシ→黄色
アキノノゲシ→クリーム色
□ 葉の付き方
ノゲシ→茎を抱くように葉が付く
アキノノゲシ→葉は茎を抱かない
ノゲシというとよくレタスの原種であることに言及されるけど、レタスはアキノノゲシ属なので「アキノノゲシはレタスの原種」と言った方が筋が通っているような気がするんですが、どうなんでしょう。
金元寿子さんといえばセーラームーンの水野亜美だよねって言われて「そうなんだけど、水野亜美といえばむしろ久川綾さんなんだよなぁ」みたいな話です。伝わりますでしょうかこの感じ。ともあれ、僕はセーラームーンのなかではレイちゃんが一番好きですよろしくお願いします。
続いてカラスノエンドウ。
ここは日当たりがいいのか、すでに相当伸びている。先端の柔らかいところだけをいただいていきます。
カラスノエンドウは量を確保しないと食べた気にならないので、新芽をむしるのに20分くらい消費してしまった。
通りすがりの女性がこっちを見てますね。バンバンバンッ(布団を叩いて威嚇する音)
近所の里山にきました。
この里山では先日ギシギシの新芽を採りました。今回は時間の関係でスルー。
↓ 先日の記事
あと、ギシギシの新芽を採っていたときに香草として使えるカキドオシをみつけたのですが、もうちょっと大きくなってからこれは採ろうと思います。
木々で陰になって日当たりの良くない、少しひんやりとした場所に新芽の群生。ハルジオンでしょうか。
正直、ハルジオンなのかヒメジョオンなのか自信がない。時期的にハルジオンだと思いますが、もうちょっと成長すれば以下のような特徴から区別できます。
□ 葉の茎への付き方
ハルジオン→茎を抱く
ヒメジョオン→そうでない
□ 茎
ハルジオン→中が空洞
ヒメジョオン→白い髄が詰まっている
□ つぼみ
ハルジオン→下向き
ヒメジョオン→上向き
□ 花茎の上の方の葉の形
ハルジオン→滑らか
ヒメジョオン→鋸歯状(ギザギザ)
□ 花の時期
ハルジオン→春
ヒメジョオン→初夏〜秋
□ 花弁
ハルジオン→線のように繊細
ヒメジョオン→多少ながら幅のあるしっかりとした花びら
ハルジオンのすぐ近くにはタネツケバナ。
小さくて可愛いですね。ただしこのサイズだと食べ応えがなさすぎる。
在来種のタネツケバナはもっと暖かくなってから花が咲くので、今花が咲いているこいつはミチタネツケバナという帰化種でしょう。味に違いはあるんでしょうか。
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1時間経過したので速やかに家に戻ります。
その夜、妻と子どもが寝静まったので、茹でて出汁醤油をかけて食べ比べます。
お?けっこう育っていたのに苦味もエグ味も弱く、なおかつ繊維も強くない。どうせ味はタンポポみたいなんでしょとか思ってたけど、タンポポよりもずっと食べやすくて汎用性が高そう。予想よりも遥かにレベルが高くて、ちょっと感動すらしている。
ハルジオン
あー、いかにも「外来種のキク科の野草」っていう感じの香り。香り高いといえばそうなんだけど、香りのベクトルとか苦味の強さが、全体的に薬っぽい印象。消毒液っぽさというか…。葉のうぶ毛は、食感に影響しているものの、幸いながらそこまでは気にならない。
二口までなら食べられるけど、それ以上だとちょっときつい。天ぷらにするといいアクセントになるかもしれないけど、茹ではおそらく向いてないですね。
試しに1本根元から採ってきたけど、明らかに成長しすぎてて食べ頃を逸しているんですよね。これを採ったすぐ近くにもっと生え始めの群生地があったのでそれを採ればよかったんですが、私有地なのかそうでないのかよく分からなかったので遠慮した結果です。良識的。
食べてみると、少し繊維があるが、野草としてはそんなに問題ないレベル。そしてマメ科らしいコクがあって美味い。食感ではもちろん劣るものの、味覚的には豆苗の先端を食べているのとそんなに変わらない。
個体ごとの大きさがまちまちで、小さいものは本当に小さい。あと、紫がかった個体もあることを今回初めて知った。
タネツケバナは、陸生バージョンのクレソンみたいな位置付けなので期待値が高かったが、あまりこれといった印象がない。苦味は爽やか。しかしピリッとした感じはなく、アブラナ科ならではの旨みもなく、味自体が薄い。個体の問題か、それとも調理の問題かは分からないけど、再検証のため今度また採ってみる。
後日、お浸しで消費し切らなかったカラスノエンドウ、ノゲシ、ハルジオンを使い切るため調理。
カラスノエンドウはなんとなくミートソースに。
ミートソースにカラスノエンドウは全然いけますね。クセのある食材ではないので洋風の味付けにも馴染む。基本的に野草を口にしたがらない妻に、野草が入っている旨を伝えずにしれっと出したら普通に食べていたので、たぶん大丈夫です。
余談ですが、ミートソースにはローズマリーを入れましたが、もちろんその辺の植え込みに生えていたやつです。私の基準ですが、その辺のローズマリーを見て、「食材がタダで手に入る」と思うか、「気分的に、買ったやつじゃないと嫌」と思うかが、野食ができる人かどうかの分かれ目かなと思います。
ノゲシとハルジオンは残っている量が少なかったので、ラーメンに添えました。
ノゲシはやはり安パイですね。ニュートラルな味わいなので、そこにいても違和感がない。友達系彼女だ。
それに引き換え、やっぱりハルジオンは薬っぽい。まぁ、茹でたやつを冷凍保存しただけで追加の調理を施したわけじゃないから、味が変わってるはずないんだけどね。八角を効かせた中華風の炒め物なんかにしたら、また違う印象になったかもしれない。
実際に食べてみると、事前のイメージはあまりあてにならないことがよくわかりました。私の中での期待値が高かったタネツケバナが実際はそこまでではなく、逆にそんなに期待してなかったノゲシが美味しかった。
やっぱり、ちゃんと自分の五感を使って経験しないとだめですね。
(採取日: 2021年2月23日)