最近はなかなか一人で野草を探す時間がないので、子どもを遊びに連れて行くついでに道端の草をチェックするのがメインの活動になりつつある。そんなこんなで、近所のどこにどんな野草があるかだいたい把握している。それでも、こんなところに実はこれが生えていたのかと、ふとしたときに発見があるのが野草の面白いところですよ。
何度かチェックしているはずの道にベニバナボロギク。一度食べてみたいと思っていた野草です。辺りを見渡しても群生しているわけでもなく、なぜかここにだけ生えている。
わが子「お、ベニバナボロギクでちゅね( ^ω^) 」
そうそう、よく知ってるね。アフリカ原産のキク科の帰化植物だね。
海外では野菜として利用されることがあるとかないとか。味のレベルが高いらしい。
その名の通り、花が赤いから見間違いが少なくて助かる。
わが子「もっていきまちゅね( ^ω^) 」
摘んだベニバナボロギクをパクって走り出すわが子。
美味しいと名高い野草なのでそんなに心配していなかったが、調べてみるとピロリジジンアルカロイドが含まれているとの情報がちらほら出てくる。
この成分はというと、以前ノボロギクを誤って食べそうになったことを書いた記事で触れています。端的に言うと毒。
ベニバナボロギクにこの成分が本当に含まれているというのが本当なのかもう少し調べてみると、ありました。どんな野菜や山菜に同成分が含まれるのかを調査した農水省の資料に、キク科ベニバナボロギク属が言及されている。どうやら確かな情報っぽいですね。
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/papers_posters/pdf/108th_eisei1.pdf
フキにも普通に含まれている成分で、水溶性のため通常アク抜きの過程で取り除かれます。ベニバナボロギクが可食野草として有名であることを考慮すれば、ごく普通の下茹でを行えば問題ないということなのだろう。
とりあえず一枚生で食べてみるか。わが子がブンブン振り回したせいで葉がしなしなになっている。
生で食べた時点でわかる。これは美味いやつ。春菊のような芳香があり、苦味はあるもののキク科植物としてはたいした苦味じゃない。なんならチコリーの方がよっぽど苦い。
花は食べられるか?
さすがに無理だった。もしゃもしゃする。
葉をむしりました。根元に近い葉も全く筋張っていなくて柔らかいので、葉という葉は全部食べてみることにした。
2分くらい茹でて冷水にとりました。特に水に晒したりはしてません。
鰹節と醤油で。
野生味を強くした春菊ですね。春菊のような滑らかな舌触りではないものの、ベニバナボロギクもまったく繊維が気になるようなところはない。香りのベクトルは春菊そのものだが、含み香に少し複雑さがあり、それが野生味を醸し出している。苦味はやはり穏やかです。レタスやチコリーが食べられるなら、全く問題にならないレベル。同じキク科の野草であるノゲシやアキノノゲシの葉の苦さを考えると、野草でこれだけ苦くないのは驚きです。
まだ小さい花のつぼみは食べられるのか。
あ、そんなに苦くない。葉よりも苦味も香りも強いけど、お浸しでも食べられる。ノゲシのつぼみだったら、強い苦味と菊花香でこんな食べ方できない。
たまたま作り置きしてあった肉があったので、ベニバナボロギクを添えて食べてみたら非常に合う。春菊よりも少し風味が強いから肉に負けてない。ただ炒め物などにするなら、ピロリジジンアルカロイドのことを考えて下茹でしてからの方が良さそう。
もっと群生していたら、日常的に採取して食べてもいいと思えるような優秀な野草でした。
ちなみに、子どもにはもちろん食べさせていません。野草を食うような人間になってほしくないので。
(採取日: 2022. 12. 3)