しらたまが道草を採って食うブログ

私ついていくよ どんな辛い野食の闇の中でさえ

花が咲ききって薹(とう)が立ったネギは美味しく食べられるのか

 

実家の畑の捨てられそうな作物を引き取ってなんとか美味しく食べてみるシリーズをまたやります。今回はネギです。

 

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上の写真のように、ネギは小さな無数の花が集まるようにして咲き、この球状の花の集まりをネギ坊主と呼びます。市場に出回ることはないですが、蕾のうちであれば食べることができ、しかも大変味の濃い美味しい部位です。こんな風に鶏肉と一緒にローストして塩胡椒をするだけでご馳走になります。

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しかし花が咲くにつれてネギ坊主全体がどんどん固くなっていき、食用に向かなくなっていきます。またネギ坊主ができると野菜として出回っている葉の部分も繊維が固くなって可食性に乏しくなります。

 

今回持ち帰ってきたのは、花が完全に咲いてネギ坊主も葉も固くなった状態のもの。

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これが2袋分あります。毎回反省するんだけどこんなにもらってどうするんだよ。

 

 

こんなふうに筋張っています。妻の肩甲骨の筋肉みたいですね。あっ…はい、洗い物やっときます…。
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下の写真は、持ち帰ったもののなかでも比較的ネギ坊主がまだ柔らかいもの。本来は、左右にある薄皮みたいなものがネギ坊主全体を覆っている頃のものを食べます。
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まずはなんとか普通に食べられそうなものを選別して天ぷらに。

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キッチンドランカーなので揚げあがった天ぷらで一杯やり始めてしまう。つまみを作りながら飲む酒が世界一美味いんじゃ。

 

完成
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やはりちょっと固いですが、繊維が口にいつまでも残るようなことはないのでまあ及第点かなという感じ。味自体はやはり濃くてうまい。


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葉の部分も揚げてみました。表面ツルツルの食材は衣が剥がれる。こちらも固いですが食べられなくはない。

 

 

 

 

 

 

天ぷらで食べられないものは細かく刻んでスープにします。

フライパンで軽く炒めて、

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甘み出しの玉ねぎと一緒に煮込む。出汁は鶏がらスープ。
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なんだこれは、めっちゃ美味い。鶏がらスープとネギ類だけとは思えない濃厚さ。そしてお椀のボロさ。

ネギ自体は繊維が固すぎて食べられたものではないが、これだけ味が出るなら使いようが出てくる。

 

 

 

 

では、普通のスープに出汁用に大量のネギを入れてみると、いつもよりも美味いスープになるのか。試しにポトフを作ってみる。

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わかりづらいですが、ネギの下に他の具材があります。

 

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味は普通だな…かなり期待してたんだけど、思った以上に普通。

私は普段からポトフにニンニクをちょっと入れるんですけど、ニンニクもネギも仲間なので普段のポトフと同じような仕上がりになってしまったということかもしれない。硫化アリル系統の香気がいつもよりも際立っていた気はするが、あまり自信はない。ネギの量の問題もあったかもしれないですね。

 

 

 

 

 

 

 

繊維が噛みきれないことを除けば、普通のネギのように香り出しや他の食材の臭み消しに使えそうだと分かった。まだ手元に大量に余っているので、ネギ油を仕込んでみる。今回の固くなったネギでも成分的にはネギ油が問題なく作れるはずなので、問題は揚がったネギもサクサク食べられるのかどうか。

ラードや胡麻油を使ったり、花椒や唐辛子を入れたりと、人によっていろんな作り方があるようだが、僕はシンプルにサラダ油とネギだけで作っています。

 

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チャーハンに入れるなり、甘辛いタレと一緒に麺にかけて葱油拌麺にするなりして食べましたが、普通に美味しかったです。食べ頃のネギで作る方がネギ自体の食感が軽くなり美味しいのですが、薹が立ったネギでも若干固めではあるが一応サクサクと食べることができるので、大量消費できる意味でも、ネギ油はひとつの最適解だと思う。

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薹が立ったネギでも、全面的にネギ成分を活かしていく方向の調理であれば利用可能なことが分かりました。ただ、ネギ坊主は味が濃くて大変美味しいので、薹が立つ前に食べてしまうのが一番いいのは言うまでもなさそうです。

 

 

(収穫日: 2022. 5. 4)