ノカンゾウはオレンジの花を咲かせるユリ科の花で、野山や土手なんかに広く分布している。西洋で薬草的なポジションにある甘草とは別で、漢字は萱草と書く。ワスレナグサとも呼ばれるけども、ムラサキ科の園芸用の花にもワスレナグサと呼ばれるものがある。いろいろややこしいですね。
春の新芽と花の蕾が食用になる。特に蕾は金針菜とも呼ばれていて、ちょっとお高めの串焼き屋さんや中華料理屋さんで出てきたりする。
仲間にヤブカンゾウがあって、ノカンゾウは花が一重、ヤブカンゾウは八重に咲くという違いがあるくらいで、とてもよく似ているし、こちらも食用にできる。
私は住宅地に住んでいるのだが、駅から家に帰るまでの道の植え込みにノカンゾウが咲いている。誰かが園芸用に植えたのかもしれないと思って様子を数日見ていたが、その割には雑草生えまくりだし、そもそも公道の植え込みだから勝手に植えられないことも考えて、蕾を拝借することとした。
ノカンゾウの花は6〜8月に咲くが、もう8月半ばということもあり花が終わり始めていた。
夜、通勤リュックを背負ってノカンゾウの蕾をポチポチ摘むおっさんの姿がそこにはあった。
量があるわけではないので、晩酌のお供に焼いて塩かけて食べてみる。
なんだこの味の濃さ。えぐみや青臭さは一切なく、甘み、そしてそれ以上に旨みの強さが際立っている。ほかのどの野菜にも例えようがないが、強いて言えばロマネスコの甘みと旨みを5倍濃縮した感じ。