果敢にも冬の河口にクロダイ・キビレを狙いに来ました。なんと!結果はボウズでした。
仕方ないので野草を取ります。コンクリートの護岸なので植物が少ないですが、やたらとヘラオオバコがありました。
その名のとおりオオバコ科の植物で、ヨーロッパ原産の帰化植物。2015年に廃止された環境省の要注意外来生物リストには掲載されているけど、その後継である生態系被害防止外来種リストにはどうも掲載されていない。なんででしょうね。
オオバコはどこでも手に入るクセのない野草として名高いですが、ヘラオオバコもどうやら食べることができるらしい。
どうせ外来種やしええやろということで株ごと採りました。
冬季のロゼット型植物らしく、触ってみる限り葉は硬く、地面にぴったりと這いつくばっている。あまり美味しそうな印象ではない。
ちなみに暖かくなるとこんな感じで葉が立ちます。
(出典: 松江の花図鑑 ヘラオオバコ)
葉をむしった。
とりあえず生で食べてみる。
なかなかに苦い。繊維も硬く、パリパリとした食感。一言で言うと、野草を食べない人がイメージする「ただの葉っぱ」の味といったところか。舌にピリピリくるわけでも、変な酸味があるわけでもなく、ただ苦い。そういう葉っぱ。しかしやばそうな苦味ではない。生で食べてただ苦いだけというのは、野草としてはその時点で既に優秀なので、ちゃんと茹でて水にさらせば期待できるんじゃないだろうか。農作物と違って野草の世界では、そのまま食べて美味しいか美味しくないかではなく、仮に美味しくなかったとしてもその美味しくなさの原因を調理によって制御できるかどうかが一番重要なので。
繊維が少し硬かったので5分くらい茹で、水にしばらくさらします。茹でている間、湯気が川の匂いでした。汚ねえ都市河川の護岸に生えてた奴なので…。
茹で上がった歯を食べると、苦味がしっかりと残っているものの、やはり身体が受け付けない類の苦味では全然ない。ゴーヤを食べられるなら許容範囲ではないかという気もする。少しだけ硬さは残るものの、口に繊維が残ることはなく、キュムキュムとした食感がかえって心地良くも感じる。
水にさらして2時間が経過。
まだ普通に苦いな。
一晩置くか…
翌朝調理しなかったので、結局丸1日水にさらすことになりました。それでも水は薄い茶色に染まっていました。けっこう成分強いんだね。さすがに1日水にさらしたら苦味は消えてました。
玉子と一緒に炒めてみましょうかね。ニンニク、生姜で香りを出して、味付けは塩、胡椒、オイスターソース、しょうゆ、砂糖で。
全然クセがなくて美味しい。別の言い方をすれば何の特徴もない。苦味もエグミもない。そしてこれといった味もない。しかし雑草級の野草で何のクセもないというのは立派なステータスですよ。
今回は濃いめの味付けで炒めてみましたが、これだけしっかり苦味対策をすればお浸しでもいけるし、ただ塩胡椒で炒めるだけでも美味しく頂けそう。むしろ、食材として受け入れられるタイプの苦味なので、苦味を残してゴーヤチャンプルー的な感じの炒めものにしてもそれはそれで美味しかったのではないかと思う。優秀な野草でした。
(採取日: 2023. 2. 24)