しらたまが道草を採って食うブログ

私ついていくよ どんな辛い野食の闇の中でさえ

流れてくる小鮎の死骸を掬って食べる そして冷水病の話


 

最近夏場に釣りにいくとなると、もっぱら琵琶湖でのハス釣りである。もう滋賀に住みたい。

ハスは砂地の岸近くや琵琶湖流入河川にいるんですけど、砂浜でハスが回遊してくるのを待つのがしんどいので、魚影の濃い川で釣ることが多くなった。ただ、多くの琵琶湖流入河川では小鮎その他の水生資源保護のため9月に入ると禁漁となるので、滑り込みで遊びに行ってきたわけです。

 

 

 

 

ここ2ヶ月通っているポイントなのだが、今回は明らかに川の様子が違った。

 

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なんか死屍累々としてる…


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魚も流れてくる…

 

 

見てみると、すべて小鮎。

この川は小鮎もたくさんいるところで、1ヶ月前に来たときと変わらず小鮎が群れをなしてその辺を泳いでいるんだけど、死骸が大量に出現している。

 

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橋の上から撮った写真。ちょっと分かりづらいですが、見える白い点々が小鮎の死骸(2つくらい空き缶が混じってます)。

 

 

直近の大雨の影響かとも思ったけど、川は多少水が多いものの濁りもなく、どうも関係なさそう。

もうね、次から次へと流れてくるんですよ。その死骸も、死んだばかりと思しきものから、死んで時間が経って朽ち始めたようなものまで様々。

 

 

 

 

 

 

 

これ、食べられるかな?

 

 

 

 

 

きれいな死骸も流れてくるんですよ。しかも今日はタモを持ってきている。とりあえず掬いましょう。

 

 

 

川の中に突っ立っていれば、その辺を流れてくるのでこれを掬っていく。

10分そこそこでこの量。

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ただし、とりあえず流れてきたやつを何も考えずいったん全部掬ったので、状態はまちまちです。


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このへんは黒々としていて綺麗。体も柔軟性を保っている。


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体表のツヤがなく薄い黄土色っぽく変色しているもの。体表にズタズタの傷があるものもある。


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そして体に穴が空いているもの。背鰭や尾鰭が朽ちているようなものもいる。どうやら何かの病気っぽい。

 

 

調べてみると、鮎が感染する冷水病というもの。

フラボバクテリウム・サイクロフィラムという細菌に感染することにより発症する致死性感染症で、もともとは北米のサケ・マスの病気として知られていたもの。この菌は16度以下の低温の淡水環境で増殖するため、冷水病という名前が付けられている。日本では1987年に徳島県内の鮎養殖場において琵琶湖産の鮎種苗*から初めて確認された。その後、90年代から全国的に鮎の病気として蔓延。なぜ全国で蔓延したかというと、放流・養殖の目的で、ある場所で捕獲された鮎が全国の河川に放流されるということがよく行われているため。琵琶湖産の小鮎は、養殖種苗や放流という目的で全国に出荷されている。

 

* 琵琶湖産の小鮎についても説明しておくと、小鮎は琵琶湖のみに生息する非降海型の鮎で、一生を琵琶湖内で過ごす。「小鮎」といっているのは鮎の子どもという意味ではなく、海に比べて餌となるプランクトンが少ない琵琶湖で一生を終えるため、降海型の鮎ほど成長しないことを捉えた名称である。琵琶湖産の小鮎は養殖種苗として全国に出荷され、また全国の河川に放流されている(鮎資源の保存という名目だけでなく、琵琶湖産の小鮎は縄張り意識が強いので、友釣りでよく釣れるため釣り人から喜ばれるという理由もある)。しかし、琵琶湖産の小鮎は降海型の鮎とは生態的・遺伝的に大きな違いがあり、放流しても鮎の再生産には結びついていない可能性が指摘されている。また、仮に交雑がうまくいったとしても、その流域固有の鮎の遺伝的攪乱が起こることになる。

 

冷水病の症状は、体表の潰瘍(体に穴が空く)、体色の白濁、下顎の出血など。上で挙げた写真を改めて見ると、いずれの症状も確認できる。現在、冷水病に効果的なワクチンは実用化されていないため、飼育施設や器具のの消毒徹底、保菌個体が見つかった場合の早急な除去、種苗の健康管理徹底など、とにかく流通・飼育の過程で菌を広げない、運ばない努力をしましょうというのが国の方針になっている(参考: 農林水産省『アユ冷水病防疫に関する指針』https://www.maff.go.jp/j/syouan/suisan/suisan_yobo/ayu_reisui/attach/pdf/index-2.pdf)。

 

 

 

 

 

冷水病にかかった鮎を食べても問題はないか。

フラボバクテリウム・サイクロフィラムは高い水温下では増殖できず、養殖においても一時的に飼育水温を上げるというのが冷水病対策として有効とも言われている(ただし、水温変化による飼育個体への負担があるとかないとか)。つまり、ちょっと火を通せば簡単に死滅してしまうような菌なので、普通に加熱調理すれば問題ないと思われる。

 

 

いや〜 今年まだ稚鮎/小鮎の天ぷらを食べてなかったんですよね。初夏の味をまさか8月の終わりに味わえるとは思わなかったので嬉しくなってきました。まぁ病気にかかった死骸なんですが。

 

 

 

 

 

 

 

結局2時間くらい掬って80匹くらい確保。きれいな個体を選別したうえでの80匹なので、そのくらい大量に死んでます。そしてそのほとんどがすごく痩せてるんですよ。ちょっと暗い気持ちにもなってきます。

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それにしても、100メートルくらい上流にシラサギの群れがいるんですけど、こいつらはこの死んだ小鮎は食べないんですかね。「や✋🏻我々は生きた新鮮な魚しか食べませんので✋🏻」と、そういうことなのか。スカベンジャー枠はトンビとお前に譲ると、そういうことなのか。

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かなり数があるので、数日間小鮎で食い繋ぐつもりで天ぷらと甘露煮を仕込んでいきます。

 

さすがにちょっと気味が悪かったので最初は内臓だけは取り除いていたのだが、数が多すぎて面倒になってきたので半分は内臓つきのまま調理することに。どうせ加熱するしね。やっぱり小鮎の美味しさは内臓の苦味があってのことですからね。内臓とっちゃうなんてナンセンスですよ(正常性バイアス)。

 

 

 

 

 

 

 

 

天ぷら
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結論から申し上げるとめっためた美味い

全然問題なしですよ。小鮎が出回る6月前後に比べると個体が大きいので、その分骨が気になるようになるけど、それ以外はただただ美味しい小鮎。やっぱり内臓の苦味を味わうために小鮎食べてるみたいなとこある。

 

 

甘露煮。醤油、ざらめ、味醂、日本酒(鷹勇)だけで炊いていく。
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こちらもめっためた美味い。

醤油色に染まってないけど、味はしっかり付いてます。30分くらい炊いただけだけど柔らかく、鮎らしい香りも健在。素材として美味い魚はシンプルな調理で十分美味い。

 

本当にこの3日間ずっと小鮎の天ぷらと甘露煮で食い繋いでいる。今頃気づいたけど、小鮎を炙って炊き込みご飯にもすればよかったな…

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冷水病で死んだ小鮎は、琵琶湖で他の魚やらトンビやら微生物の餌となり糧となるのだと思いますが、この大量死を目の当たりにすると、なんか放っておくのも可哀想になってくるのですよ。富山に遠征してホタルイカとか掬ってる方、夏には琵琶湖に来て死んだ小鮎掬ってください。

 

今回の出来事で鮎の冷水病という問題を初めて知ったんですが、これ完全に人間が引き起こした問題なんですよね。魚をたくさん釣りたいという鮎釣り師の欲と、夏に鮎を食べたがる消費者の無知に応えるかたちで、地域固有の鮎ではなく手っ取り早く他所から鮎を持ってきて放流するという漁業が成立しているという構図。

ウナギもそうだけど、ここまでして夏に鮎を食べなければいけないんですかね。もうちょっと大きな問題として世間に認識されてもいいような気がします。

 

 

本当にいい勉強になりました。ごちそうさまでした。

 

 

 

(採取日: 2021. 8. 26)

 

 

 

【参考】

広島県立総合技術研究所 水産海洋技術センター 『アユ冷水病の病原機構の解明 と防除技術の開発』http://www.fishexp.hro.or.jp/cont/jochokai/conference/hioc3b0000001cyx-att/H27_09_koen3.pdf

 

島根県内水漁業協同組合連合会『鮎の川を復活させるために 「しまねの鮎づくり」宣言』https://www.pref.shimane.lg.jp/suisan/ayuzukuri.data/ayusengen.pdf

 

・友釣 酔狂夢譚 アユの放流

 

冷水病 - Wikipedia

 

スイカの白いところでキューカンバーサンド作った

 

注意: 今回の記事には野食は全く関係ありません。すみません。

 

 

 

 

 

 

野食をやっていて実感するのは、「野草って意外と美味いんだなあ」ということではなく、「野菜って本当にすごいよな」ということです。それは、一番思うこと(空気公団の歌詞)。普段、そのへんに生えている野草を美味い美味いって言って食ってますけど、どうあがいてもたいていは野菜のほうが100倍くらい美味しいわけです。人類が長い歳月を重ねて改良を重ねた結果が野菜ですから、美味いに決まってるわけですよ。農業はすごいんだよ。

 

こういう感覚になると次は、「野菜がそもそもこんなに美味しいんだから、今まで捨ててた部分も食べてみたら美味しいんじゃない?」と思うようになります。キャベツの外葉をわざわざ捨てる必要なくない?とか、ピーマンの種も食べられるんじゃない?とかです。そんな感じで、スイカを食べ終わったあとに残る白いところも食べることにしたのが今回の記事というわけです。

 

 

 

 

実は私がスイカの白いところを食べるのは初めてではなくて、学生時代にわりと食べてました。学生時代、なぜか節約に凝っていたので、キャベツと玉子と米だけで1週間食いつなげるか試してみたりしていたんですが、その一環で、実家の畑でとれたスイカを食べ終わった後、白いところを律儀に毎回取って料理に使っていました。あと、これは1回しかやったことないですが、ビワの種を食べたこともありましたね。ビワの種にはアミグダリンという有毒のシアン化合物が含まれているので、食べるのはお勧めしませんが(ちなみに、杏仁みたいな香りがします)。

 

 

 

 

今年は約10年ぶりに実家でスイカを育てたらしく、先日もらう機会がありました。

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いわゆる黒玉スイカというやつで、皮が固く、白いところが多い品種でした。なので、赤いところだけ食べるとどうも歩留まりが悪くもったいない感じがしてしまって、白いところを久々に食べてみようと思い立ったわけです。

 

 

 

 

 

 

少し残った赤い部分を削ぎ、外皮を剥いた状態。並べ方には特に意味はありません。
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学生時代、私は料理のスキルがそこまで高くなかったので、スイカの白いところは毎回肉と一緒に味噌炒めにしていました。そこそこ美味しいものの、水気が出てしまい、なかなか味がカチッと決まらない感じがしていました。この経験から私は、あらかじめ塩揉みして水気を切っておくことが重要だと学びました(就活生の面接)。

 

 

 

 

 

 

 

まずはキューカンバーサンド。塩揉みしたキュウリを挟むだけのシンプルなサンドイッチなのですが、これをスイカの白いところを使って作ってみる。池波正太郎が初めて自分で作った料理が白瓜を使ったキューカンバーサンドだそうで、ふとそんなことを思い出してなんとなく食べたくなったのでした。

食パンにマヨネーズと和からしを塗って、そこに塩揉みのスイカの白いところを挟む。これで完成。


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なんか予想してたより5倍くらい美味いサンドイッチができてしまった。

イカもキュウリもウリ科なのでもともと香りが似ているのだけれど、やはりスイカの方が香りの高さがあり、スイカの白いところであってもその香りにはかすかな甘みが感じられるんですよ。そしてキュウリより味が濃い。さらに、食感は全く違っていて、キュウリがサクサクシャキシャキという感じなら、スイカの白いところはパリパリといった強い歯応え。全体的にキュウリよりも個が強く、サンドイッチにしても存在がぼやけることがない。

とはいえ、素材としては味の淡いものであるので、マヨネーズは塗りすぎないようにして、スイカの香りが楽しめるくらいにするのがいい。和からしはたっぷり効かせた方が断然美味いですね。マスタードではちょっと手緩い。和からしの輪郭のはっきりした辛味でこそ全体が引き締まります。

 

反省点として、赤い果肉の部分はきっちり削いだ方がいいです。中途半端な甘みが混入すると途端に甘い果実としてのスイカの顔がチラついてしまい、野菜なのか果物なのかどっちつかずの味わいになってしまう。まあスイカは始めから野菜だけども。

 

 

 

 

 

他には炒め物でも作ろうかと思ったのですが、美味すぎて3日連続でキューカンバーサンドを作った結果、素材を使い切ってしまいました。

もし炒め物にしていたとしたら、塩揉みにしたうえで、長時間炒めることはせず、短時間で仕上げた方が食感を活かせると思います。

あとは冬瓜のアナロジーで麻婆的な煮込みやスープにすることも考えましたが、煮込んでも冬瓜ほどのトロトロ感にはならない気がするし、普通に冬瓜使えばええやんという気もするので、やっぱりパリパリ食感を活かす方向がよいかと思われます。

塩揉みしただけのものをキュウリの代わりに棒棒鶏とか蒸し鶏に添えるのも、悪くはないと思いますが、ちょっと主張しすぎな感がある。キュウリにはキュウリの良さがある。

ネットで見てみると、漬物にするというレシピもあるようですね。

 

 

 

と、いろんなレシピが考えられますが、いかんせんキューカンバーサンドが驚くほど完成度が高かったので、素材が余らない限り、今後スイカの白いところはキューカンバーサンドにしかしないと思います。

 

スベリヒユを毎日食べて夏を乗り切るわよ

 

この記事を書き始めた8月8日、名古屋は39度のとろけそうな日。センチメンタル・バスかよ。

 

 

 

身体が弱らないようしっかり栄養を摂りたいところ。夏に食べたい野菜と言えば、皆さんもよく食べているアレですよね。そう、スベリヒユ(ナレーション: 日髙のり子)

 

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無限に生えてくる生命力の強さ、しかし各地で野菜として食され栄養価も豊富な雑草系野草のキング。

先日、親が実家の畑に農薬を撒くというので、その前にスベリヒユを採っておいてくれと頼んでおいたもの。まだまだ生えていたらしいので、写真の10倍くらいの量があってもよかった。

 

 

スベリヒユは過去に記事にしているが、手に入るたびにちょこちょこ食べていて、もはや私の日常にすっかり溶け込んだ野草となっている。

 

 

この記事のときはだし醤油でお浸しにしたが、個人的にはスベリヒユ特有の酸味*はお浸しという食べ方にあまりマッチしていないように思われたので、今回はこの酸味を活かした食べ方を探ってみたいと思います。

 

* スベリヒユはいわゆる多肉植物で、夜間に取り込んだ二酸化炭素をリンゴ酸のかたちで細胞内に貯蔵し、それを日中に再度二酸化炭素に還元して光合成を行います(CAM型光合成)。スベリヒユの酸味はこのリンゴ酸由来のものです。

 

 

 

 

 

 

 

まずはサラダ。ギリシャとかでよく食べられているらしい。

ドレッシングには白ワインビネガー、はちみつ、塩、胡椒を入れた。スベリヒユ自体は酸味があるものの淡白な味わいなので甘味や旨味を補った方がよかろうということで、ちょっと甘めの味にしてみる。

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やはり狙い通りで、スベリヒユの酸味とドレッシングの酸味がマッチしていて、無限に食べられる。多肉植物の酸味には酸味をぶつけるという手法はウチワサボテンでも実践済みである。

 

 

 

 

 

 

続いてスープ。ギリシャとかでよく食べられているらしい。

 普通のコンソメスープにレモン汁を加えてみた。

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サラダみたいにスベリヒユ自体に味をつけるわけではないので、ちょっと淡白さが際立ってしまうが、普通に美味い。スベリヒユに下味をつけておくとよかったかもしれない。

 

 

 

 

 

 

ナムル。ギリシャでは食べられていない。

やはり例によってレモン汁をひと振りして酸味を加えている。

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焼肉屋で出てきても違和感がない。油でコクをプラスするのはひとつの正解だと思う。

 

 

 

 

 

 

 

次回のスベリヒユ配給時には、山形で食べられているという乾燥スベリヒユの煮物をやってみたいと思います。

 

 

(採取日: 2021. 7月某日)

 

今年もハス釣りの季節になったよ

 

夏が来ました。琵琶湖でハスを釣ります。

 

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きれいだねえ。

 

既にハスに関する記事を2回くらい書いていますが、今回も書きます。

 

 

 

ハスは琵琶湖の固有種であるコイ科の淡水魚で、コイ科の中で唯一純粋な魚食性の魚なので、ルアー釣りのターゲットになります。

ブラックバス狙いの釣り人どもが高い金を出して買ったルアーをぶん投げている間に、こちらは安いスプーンを軽やかに投げる。そんな釣りです。

 

* スプーンとは、その名の通りスプーンの先のような形をした金属片に針をつけただけのルアーで、水の中でゆらゆらキラキラするというルアー。下の写真はスプーンでカワニナが釣れた様子です。

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今回の釣行の釣果は6匹だったのですが、魚をビク入れておいたらなぜか2匹に減ってました。そういえばビクの方で魚が跳ねてるみたいな音してたわ。

 

 

 

 

27センチくらいのオス。

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持ち帰ったら黒っぽくなったが、それでもこの美しい色。
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口にはこんなつぶつぶができます。集合体恐怖症の人ごめんなさい。

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ハスの雌雄の見分け方としては、青や赤の美しい婚姻色が出ていて全体的にゴツいのが雄、銀色で細身なのが雌なので、パッと見ただけでも見分けやすいが、雄の臀鰭は下の写真のように特徴的な形をしていることでも見分けることができます。
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腹鰭が結構大きい。浅瀬をよく泳いでいるからでしょうか。
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最近ゲオスミン臭い淡水魚ばかり食べていたので、美味しい淡水魚を食べられるのはとても楽しみです。

残念ながらゲオスミン臭かった皆さん

 

 

これまで、塩焼きと天ぷらで食べたことがあるので、今回は湯引きとフライにしてみる。

 

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湯引き。ハスに限らずコイ科の魚には小骨があり、その処理をするのとしないのとでは食べやすさに大きな違いが出てくる。せっかく骨切りをするならハモみたいに食べてみようということで、骨切りした身を湯がいて氷水でしめて、ポン酢で頂いてみる。

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左にある精○みたいな形のやつは浮き袋です…


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そもそも琵琶湖というきれいな環境に生息している魚だという前提はあるけれども、ハスは本当に臭みがない。淡白でいてほのかな旨みもあって、淡水魚の中でもかなり美味い部類に入ると思う。

身質はきめが細かく、ふわふわとろとろの食感。何気に他の魚にはない味わいがある。

ただ、柔らかくて繊細な身質なので、湯がいた後氷水につけたことによって少し水っぽさが出てしまったような気もする。魚を選ぶ調理法だったかもしれない。

 

 

 

フライはどうか。

付け合わせはオクラのフライです。どうでもいいんですけど今「おくら」と入力したら予測変換の1個目に小倉唯が出てきた。
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上述のとおり、ふわふわ食感の身なので、衣に負けてしまっている感が否めないですね。

フライにしたら大抵の魚は美味くなるのでもちろん美味いんですが、せっかくならハスの繊細さを活かした調理がよさそうです。

 

 

 

骨はよく揚げて食べます。
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9月に入ると多くの琵琶湖流入河川で鮎の保護のため全面禁漁になるので、できれば8月中にもう一度くらい行っておきたいものです。

 

 

(釣行日: 2021. 7. 22)

シロザが野草と思えないくらいに美味い

 

野草にはカーストが存在している。言わずもがな、タラ、コシアブラ、コゴミのような山深く入っていかないと採れない山菜が横綱大関で、フキノトウ、ワラビ、ゼンマイが関脇・小結を固めている。三役と前頭の間には希少性の観点で超えられない壁がある。山奥に入らずとも河川敷、海岸、田畑などでも採取でき、さらにその中でも特に食味の良い野草から前頭の上の方を占めていく。セリ、アシタバ、アサツキ、ノビル、ヤブカンゾウノカンゾウなど、野菜として流通するものもあるが、その中でひっそりと、しかし確かな実力者として戦っているのがシロザあるいはアカザという野草である。

 

ご参考

アカザとシロザ

 

名前のとおり、シロザの新芽には白い粉、アカザの新芽には赤い粉みたいなものが付いている。

シロザもアカザも、ヒユ科アカザ属(以前はアカザ科アカザ属に分類)の野草だけど、アカザはシロザの一変種らしい。結局、アカザとシロザを並列したときにどちらを先に持ってきた方がいいのか。最初に「シロザとアカザ」と言ったら、その次は「アカザとシロザ」と言わないといけなかったりするのだろうか。フェ◯ニストめんどくせえ。

 

2種のうちよく見られるのはシロザの方で、道端にもよく生えているらしいのだが、私は一度もシロザをお目にかかったことがない。これはシロザじゃないかと思ったらイヌビユでしたというパターンが多い。イヌビユも食べられるらしいんですが。

 

 

 

先日、琵琶湖に行ったときにようやく見つけることができたシロザ。

 

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すごい、本当に白い。可愛い。白い。

余談ですが、シロザの学名はChenopodium albumというそうです。WHITE ALBUMじゃん…

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* albumは「白い」を表すalbusというラテン語の中性形で、そこから「石灰」を指す語に転じた。英語のアルバムの語源になっている。

 

 

 

成長すると1メートルくらいの背丈になるらしいけど、これはまだ出たばかりの新芽のようで、背丈は10センチちょっとくらいのものだった。


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この白い粉状の何かは、水で洗うと多少は落ちるものの、基本はそのまま葉にくっついたままです。

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若い株だったので、茎も多少残してさっと1分足らずの時間だけ湯がいて、お浸しで食べてみます。ただし、シロザにはシュウ酸が多く含まれるので、気になる方はよく茹でた方がいいかもしれない。

 

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シロザはよくほうれん草のような味と称えられますが、ほうれん草はヒユ科アカザ亜科ホウレンソウ科の植物なので、遠縁の親戚みたいなものです。たしかにベクトルとしてはほうれん草に似た、いかにも栄養がありそうだなぁっていう濃さがある。一方で、ほうれん草ほど風味は強くなくて、噛むとホロッと崩れていくような菜物らしからぬ面白い口溶けがあり、これがまた何とも美味い。

キッシュとかココットによくほうれん草が入ってるけど、フィリングの味付けが薄かったり乳脂肪分が低かったりするとほうれん草のクセがどうも強く感じられることがあるので、代わりにシロザを入れると相当美味いと思う。

 

シロザは前評判に違わぬ味でした。

 

 

(採取日: 2021. 7. 17)

野草を摘んで天蕎麦を作った 〜 カラムシ・クズ・アカメガシワ

 

さすがの私でも野草を家族にふつうに食わせているわけではなく、一人で勝手に採って食って楽しんでいるだけなのですよ。ただ、大々的にやろうとすると家族が不在の隙にやるしかない。

久々に一人の時間があったので何をしようかと考えていたのだが、野菜のストックがないことに気づき、買い物に行くのも癪なので野草で食事を済ませることにした。家に蕎麦はあったので、何か適当に採って天ぷらにすれば天蕎麦になるわけである。めっちゃ豪華じゃん。

 

 

そういえば家の近所にまだ食べてない野草があったと思い、それを調達に。

 

 

 

カラムシ。

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山野によく生えているイラクサ科の草。古代の昔から繊維をとるために日本各地で栽培されてきた。名前がグラムシに似ているというだけの理由で、気になっていた野草です。


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こんな感じで背が高くなり、伸びた主茎をしごいて繊維をとります。

 

イラクサ科の野草といえばこのカラムシよりも山中に生えるミヤマイラクサの方が圧倒的に人気で、全草が鋭い棘に覆われていてしかも蟻酸やヒスタミン由来の痛みや痒みが伴うというハンデがあるにもかかわらず、ミヤマイラクサは美味い山菜として名高い。いつかミヤマイラクサを採って食べてみたいものです。

 

 

 

次。アカメガシワ

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これは先日天ぷらで食べましたが、なかなか美味しかったし、その辺に生え散らかしているので今回も採っていきます。

 

 

 

そして、クズ。俺じゃん。
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以前クズの新芽を食べたときは、茹でて皮を剥いてだし醤油で食べた。マメ科らしいコクがあってかなり美味しかったが、皮をちまちま剥くのが面倒で、皮ごと食べる方法はないかと考えていたのでした。

 

クズにはほぼ必ずマルカメムシがくっついている。ころころしてて可愛い。
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サクッと揚げました。

 

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付け合わせの小鉢は近所で採ったクサギで作った佃煮です。

 


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まずはカラムシ。食感は大葉。だが大葉から香りを抜いた感じ。これといった風味があるわけでもないが、大葉とか海苔の天ぷらが好きな人は全然美味しく食べられると思う。

 


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アカメガシワ。やはりほんのりとした清涼感がある。カラムシより葉が厚く産毛も生えているので、モチモチ感が加わります。

 


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クズ。想定通り、衣の食感のおかげで皮のゴワゴワ感がかなり軽減されている。もう少し厚めに衣を付ければ尚良かったかもしれない。肉や白身魚で巻いてから揚げるとなかなかお洒落なタネになるのではないでしょうか。

皮の内側は、よく火を通したゴボウのようなホクホク感に、アスパラと枝豆をない混ぜにしたような味で、食材としてのポテンシャルがやっぱり高い。ただ、衣のおかげで軽減されたとは言え、皮の繊維感は否が応にもマイナスに働いていて、皮を剥いて食べるときよりは格段に美味しさが落ちる感は否めない。味をとるか調理の楽さをとるか、難しいところです。

 

 

今回は詳しく書きませんが、クサギの佃煮もなかなかいい具合にできて、天蕎麦に華を添えてくれています。

 

その辺で採った食材でも、いい食事を頂くことができました。欲を言えば動物質もあると良かったのですが、近所の川で獲れる魚はゲオスミン臭いので、どうするかは今後の課題ですね。

 

 

(採取日: 2021. 6. 26)

 

オオブタクサはいかにもアメリカ大陸原産のキク科の植物という感じの香りはするけど食べてもパッとしない

 

花粉症ってつらいらしいですね。僕は幸いなことに花粉症でありません。生まれてこの方、岐阜のクソ田舎でスギとイネに囲まれて育ってますからね、耐性が違いますよ。

 

 

今ではコロナ禍のため年中マスクをつけていることが普通になりましたが、かねてより私は「年中マスクをつけていたい」派でした。風邪予防という目的に加えて、相手に表情を読み取られにくい、多少ヒゲを剃らなくてもバレない、ニヤニヤしながら道を歩いていても不審に思われない等の利点があるからです。

冬場はマスクをつけていても「風邪予防です(キレ気味)」で通せるのでそこまで不審がられませんが、春になると「あれ、マスクつけてるってことは花粉症?」と聞かれることになります。春を過ぎてもマスクをつけていると「この時期にマスクってことは、ブタクサ?」と聞かれて、「そうなんでゲスよ ブシュンブシュン」などと相槌を打つことにる。

こんな適当なやりとりをしていると、私の頭の中の天使と悪魔が囁くわけです。

 

脳内の天使♀「ブタクサってどんな草?」

 

脳内の悪魔♀「ウチも知らん」*

 

脳内のネコ「にゃーん」

 

* ここの「ウチ」という一人称のイントネーションは「ウ↓チ↑」ではなく「ウ↑チ↓」です。

 

 

 

 

 

 

 

こんな感じでブタクサとは無縁の生活を送っていたわけですが、6月某日、いつもの河川敷にやって来ると、

 

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こんなでかい草あったっけ?1.5メートルくらいの丈がある。いつも通りかかる場所だけど、1ヶ月ほど前にはこんな奴いなかったような。そしてその周りにも同じ草と思しき奴らが繁茂している。


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調べてみたら、これがオオブタクサである。

ちなみにブタクサはこんな感じ↓で、オオブタクサに比べて一回り背丈が小さい。

ブタクサ - Wikipedia

 

三又に分かれた葉が特徴的で、葉のこの形状からクワモドキとも呼ばれるらしいが、クワの葉とは比べ物にならないくらいでかいし強そう。

河川敷に生えているオオブタクサは、とにかく株の数が多いし、葉がでかいし、背丈もでかいし、茎は丈夫だし、なんか全体的に「性欲が強そう」という印象を受ける。植物に対するコメントとして意味が分からないことは重々承知しているが、なんとなくニュアンスは伝わるのではないかと思う。とにかく繁殖力と生命力に満ち溢れている、そんなイメージである。

 

オオブタクサは北米原産のキク科ブタクサ属の一年草で、生態系被害防止外来種の中の重点対策外来種に指定されている。

在来の虫にはオオブタクサを食草とするものはいないのか、河川敷のオオブタクサの葉はどれも虫食いもなく艶々しかった。一方、オオブタクサの原産地である北米にはブタクサハムシという虫がおり、ブタクサをはじめキク科の植物を食べる。1996年以降、日本全国での定着が確認されており、キク科植物の食害などの悪影響が懸念されている一方で、花粉症の原因となるブタクサを食ってくれる存在として、海外ではブタクサハムシによるブタクサの生物的防除の可能性が研究されている。

Biological weed control to relieve millions from Ambrosia allergies in Europe | Nature Communications

 

北米に生息するブタクサハムシはオオブタクサを食べられないが、日本に定着したブタクサハムシは独自の進化を遂げてオオブタクサも食べられるようになったらしい。ナンプラーが苦手だったけどタイ旅行に行ってから好きになったみたいな話とは訳が違う。

https://www.tuat.ac.jp/documents/tuat/outline/disclosure/pressrelease/2015/201601261308081698647559.pdf

 

とはいえ、日本において外来種であるブタクサハムシを使ってブタクサ類の生物的防除をしようという結論にはなりにくいので(そういう話になったら環境的にやばい)、地道に駆除をしていくほかなく、ブタクサ類の趨勢は残念ながらしばらく衰えることがなさそうです。

 

 

 

 

 

実はブログ主、オオブタクサを見た瞬間、「これひょっとしてアシタバ*だったりする?」とか思ったらしい。それでアシタバを調べてみたら全然違ったので、さらに調べてオオブタクサだと判ったのだが、一度「これを食べる」ということが頭をよぎってしまったので、話の流れで食べることにした。

 

* アシタバは葉の形がオオブタクサとはまったく異なるし、アシタバは茎を切ると黄色い液が出てくる。そもそも、太平洋沿岸部に生えるアシタバ名古屋市内に生えているとはあまり考えにくい。

参考画像→アシタバ - Wikipedia

 

食べると言っても、触った感じからして葉がゴワゴワしてるんですよね。背丈の低い株の新芽部分を選別しても、あまり食べたい思える柔らかさではない。ただ香りはあり、たしかに言われればキク科っぽいと思える。

アメリカ大陸原産のキク科植物というと、過去にもアレチノギクとセイタカアワダチソウを食べている。どちらも天ぷらで食べたが、どちらも風味の強さがプラスに活きていて悪くなかった。セイタカアワダチソの方が香りが強いので天ぷら映えするが、その分クセが強めなのでそんなにたくさん食べられるようなものではなかったという評価。

 

アレチノギク

 

セイタカアワダチソウ

 

 

 

オオブタクサを天ぷらにするのがどうしても面倒だったので、今回は茹でと炒めで味見をしてみます。葉の固さと毛の感じからして、おそらく茹では美味しくないと思われますが。

 

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収穫物。あまり気が進まなかったので数日冷蔵庫に放置していた。

 

 

まずは茹で。
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噛みきれないような固い繊維はないけど、毛も含めてモシャモシャした口あたりで、このままだと美味しく食べるのは難しい。

フワッと香りが鼻を抜けるが、他のキク科野草よりもいい香りという感じがしない。香り自体は強くはない。他の調理をすればこの香りは活きるのだろうか。

 

 

 

 

 

まだあるので炒めてみた。味見程度の量なので、とりあえず手軽に卵と炒め合わせた。


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ライフハックですが、料理にハーブとかスパイスを添えるとお洒落に見えます。

 

…うーん、まぁ許容範囲かな。強いて美味いとは言えないけれども、飢饉が起こったら全然食べます。

やっぱり香りの高さがないんですよね。他のキク科の野草だと、香りが先鋭すぎて薬っぽさがあることもあり、それはそれで食べにくいのだけど、オオブタクサはその反対で香りが鈍いというか、とにかくパッとしないので、「ちょっとだけにおいのする草」程度の印象を免れない。

オオブタクサのいい点を挙げるとすると、香りが弱い分クセが強すぎず、またアレチノギクなどと比べると毛が少ないので、天ぷら以外の調理が可能になってくることでしょうか。

 

ともあれ、オオブタクサは平時においてはとりたてて食べるものではない。覚えました。

 

 

(採取日: 2021. 6. 20)